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初秋の候 ―立秋から処暑 「感じたい、七十二候」vol.1

初秋の候 ―立秋から処暑 「感じたい、七十二候」vol.1

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陽が昇っては沈む日々の中で、先人が伝えてきた季節感を現代に生きる私たちが少しでも同じように感じられたら、それはとても嬉しいことではないかと思います。

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春夏秋冬のある日本。

一年を二十四節気として区切り、それをさらに三つづつに分けて名付けられた季節の移ろいが七十二候です。

季節感を同じように感じられたら

明治五年に用いられるようになった新暦と、それ以前までの旧暦にはズレがありますが、旧暦で編まれた七十二候などを見ていると、今もこれらは暮らしの中で生きていて、私たちが四季を通して培ってきた感覚と、先人が伝えてきた暦の言葉とが、ときおりスッと結びつく瞬間があるように感じます。

七十二候については私自身知らない候が多くあり、もっと知りたいという思いが湧いてきました。

あらためてこの七十二候について学びながら、暦を追ってゆきたいと思います。

よろしければ、どうぞおつきあいくださいませ。

立秋のころ

春夏秋冬のある日本。

一年を二十四節気として区切り、それをさらに三つづつに分けて名付けられた季節の移ろいが七十二候です。

立秋

二十四節気の「立秋」には、

涼風至すずかぜいたる
寒蟬鳴ひぐらしなく
蒙霧升降ふかききりまとう

の三つの候があらわれます。

2020.08.06

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立秋:暦の上での秋のはじまり! 「二十四節気で楽しむ着物スタイル」

第三十七侯/涼風至すずかぜいたる 八月七日~十一日ごろ

涼風至

まだまだ厳しい暑さが残りますが、これからの太陽の光は秋のはじまりを告げます。

陽の傾きにあわせて日傘も午後には傾けて差すようになります。

北の地域から、少しずつ、ほのかに涼風を感じられる日もでてくるころなのでしょう。

第三十八侯/寒蟬鳴ひぐらしなく 八月十二日~十六日ごろ

寒蟬鳴

旧暦のお盆のころともなると、蝉の合唱もメンバーが入れ替わって、平地でも朝な夕なに、カナカナカナとヒグラシの声が聞かれるようになります。

王朝の色のかさねに「蝉の羽のかさね」という色目があります。

和装でも洋装でも、軽やかな素材で茶と緑を重ねてみるのは、この時期に合う取り合わせではないでしょうか。

第三十九侯/蒙霧升降ふかききりまとう 八月十七日~二十二日ごろ

蒙霧升降

山岳方面や北の地方では、冷たい空気が入り込む早朝などに霧が立ちこめるようになります。

ちょうどこの時期に山梨の高原へ出かけたことがありました。

木立に囲まれ、マツムシソウが咲き乱れる丘の斜面に霧が濃く薄くただよい、幻想的で美しかった景色を思い出します。

処暑のころ

処暑

二十四節気の「処暑」には、

綿柎開わたのはなしべひらく
天地始粛てんちはじめてさむし
禾乃登ものすなわちみのる

の三つの候があらわれます。

2020.08.22

まなぶ

処暑:暦の上での夏の終わり! 「二十四節気で楽しむ着物スタイル」

第四十侯/綿柎開わたのはなしべひらく 八月二十三日~二十七日ごろ

綿柎開

木綿の布や糸の材料となる綿の実を包んでいたがくが開いて、中から白や茶色のふわふわした綿があらわる時期のことをいいます。

十六世紀ごろから始まった綿花の栽培を知る人々が盛り込んだ言葉でしょうか。はなしべとはがくの意味だそう。

第四十一侯/天地始粛てんちはじめてさむし 八月二十八日~九月一日ごろ

天地始粛

夏も徐々に衰えを見せはじめるころにやってくるのが台風です。

「野分」ともいいますが、毎年この時期に郷里の富山では『おわら風の盆』が催されます。強い風をしずめ作物に害をもたらさないよう祈る行事です。

台風や秋雨前線の進路によっては、大陸の冷たい空気が入って、暑さ疲れにホッとひと息つけることもあります。

第四十二侯/禾乃登こくものすなわちみのる 八月二十八日~九月一日ごろ

禾乃登

「禾」は「いね」、稲などの穀類のことだそう。早い地方では、もう稲穂がたわわに実るころです。

米どころで育った私も、田んぼの中にある通学路を歩いて学校へ通いましたが、稲穂が日ごとに下がってゆく様子は、子供心にも実りの喜びを感じさせてくれました。

初秋の候を感じてみましょう

南北に長い日本列島ですから、季節の移ろいも、北海道と九州沖縄とで同時にとはいきません。

地球温暖化やヒートアイランド現象の影響も見てとれる時代ではありますが、陽が昇っては沈む日々の中で、先人が伝えてきた季節感を現代に生きる私たちが少しでも同じように感じられたら、それはとても嬉しいことではないかと思います。

2021.09.06

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