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大奥の極彩色に呑み込まれるひととき『劇場版モノノ怪 唐傘』 「きもの de シネマ」vol.51

大奥の極彩色に呑み込まれるひととき『劇場版モノノ怪 唐傘』 「きもの de シネマ」vol.51

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銀幕に登場する数々のキモノたちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だってキモノで愉しみませんか。『もし徳』に引き続き、昨日公開された、人気アニメーションの劇場版をご紹介します。

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2024.07.26

よみもの

時代とキャラを映し出す偉人たちの衣裳に注目 『もしも徳川家康が総理大臣になったら』 「きもの de シネマ」vol.50

圧倒的な美の濁流に翻弄される快感を

ごきげんよう、年季の入ったアニメ好きでもある椿屋です。

今回は、2007年7月にTVシリーズが放映されるや否や、スタイリッシュなキャラクターデザインにCGと和紙テクスチャを組み合わせた斬新な手法による映像で話題となった『モノノ怪』の劇場版をご紹介いたします。

©ツインエンジン

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同作は、前作となる『怪~ayakashi~』シリーズの1エピソードとして放送された『化猫』から派生した、薬売りの男がモノノ怪に立ち向かう冒険譚。

©ツインエンジン

アニメファンなら誰もが知るフジテレビの深夜アニメ枠『ノイタミナ』の人気作品で、歴代70作品を対象とした投票企画「あなたが選ぶ思い出の3作品」(2005~09年度制作部門)にて堂々の1位に選ばれたほど。

※ノイタミナ……2005年4月に設立された深夜(毎週木曜24:55から)のアニメ枠。『ノイタミナ』とは「Animation」を逆読みしたもので、「アニメの常識を覆したい」「すべての人にアニメを見てもらいたい」という想いから名付けられた。

©ツインエンジン

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新生『モノノ怪』の見どころは、絵巻物さながらの、緻密さと大胆さを兼ね備えた圧巻のビジュアル!

なかでも背景の描き込みは目を瞠るほどで、膨大なカット数と独自の色遣いによる唯一無二の存在感は他の追従を許さない域だと言っても過言ではありません。

この世で唯一、モノノ怪を斬り祓うことができる“退魔の剣”を携えた謎の男“薬売り”が現れるところにモノノ怪の気配あり――

劇場版となる本作は、豪華絢爛な大奥に渦巻く情念を因とする怪異に、その男が対峙する物語です。

©ツインエンジン

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ミステリアスな薬売り(CV神谷浩史)の魅力はもちろんのこと、濃厚な密度の世界観に圧倒されること間違いなし。

息つく暇もない怒涛の展開に、観る者を浚っていくかのような溢れんばかりの情報量で、一瞬たりとも目が離せない……瞬きすらも我慢してしまうほどの映像美こそが最大の特長です。

©ツインエンジン

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人々の情念をも描き切った映像の底力

大奥という閉鎖的かつ女たちの情念が蔓延る空間における人間関係の描き方もまた、本作の魅力のひとつ。

大奥

©ツインエンジン

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個を殺して集団に染まることを強いられる環境での生き辛さという普遍的テーマは、令和の現代にもよくよく通ずるもの。人間がもつ業や闇、欲や希望といった内面的要素を可視化したことで、共感が深く響きます。

©ツインエンジン

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加えて、キャラクター造形も見逃せないポイントです。

天子様の世継ぎを産むため各地から集められた美女・才女らが集う“女の園”は、独自の掟が敷かれた独特の場所。そんな異質な社会に、新人女中のアサ(CV黒沢ともよ)カメ(CV悠木碧)が足を踏み入れるところから物語は始まります。

©ツインエンジン

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キャリアアップを図る才色兼備のアサと、憧れの大奥に自らの居場所を求めるカメ。

対照的なふたりの間に生まれる絆や反発を軸に、彼女たちの教育係となる麦谷(CVゆかな)の隠し切れない嫉妬心、御年寄・歌山(CV小山茉美)の思惑、歌山直属の部下・淡島(CV甲斐田裕子)の苛立ちや憤り、御祐筆を担う女中・北川(CV花澤香菜)の建前と本音、といったさまざまな感情が渦巻いていきます。

©ツインエンジン

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これは、我々の魂を揺さぶる“救済”の物語。

どんな人の心にもモノノ怪の種はあり、それがいつ発芽するかは誰にも分からない――そんな混沌とした世の中で一筋の光となるような作品が生まれ、リアルタイムで観ることができる歓びを、どうぞ劇場でご享受くださいませ。

ちなみに、TVシリーズ未履修でも全く問題ありませんので心配ご無用にて。

©ツインエンジン

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さらに、映画公開を記念して8月19日まで『鯛よし 百番』(大阪市西成区)とのタイアップキャンペーンを実施中です。

『鯛よし 百番』は、大阪にある大正・昭和初期に遊郭として建築された建物を、当時のままいまに伝える登録有形文化財のお食事処。

緋毛氈の敷かれた廊下をはじめ、緻密な襖絵、豪華な欄間、精巧な装飾……木造妓楼建築美術の粋を集めた部屋は、まるで本作で描かれる大奥の世界そのもの。この機会にぜひ訪れてみてはいかが?

詳しくは、『鯛よし 百番』公式サイトのトピックスをご覧ください。

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