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装いを愉しむ『ファッションカンタータ from KYOTO』開催

装いを愉しむ『ファッションカンタータ from KYOTO』開催

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去る2024年6月15日、京都劇場にて『第30回 ファッションカンタータ from KYOTO』が開催されました。ショーに先駆けて行われた記者会見では、ゲストモデルを務める吉岡里帆さん、松村沙友理さん、鮎川陽子さんの御三方をはじめとする7名が登壇。会見の様子と、雅やかなランウェイコレクションの数々をお届けします。

テーマは「Present for our Future」

上手より吉岡里帆さん、松村沙友理さん

上手より吉岡里帆さん、松村沙友理さん

日本の古き良き伝統である和装文化と、先進的な洋装文化、そして芸術文化との交流・融合を図り、京都から広く発信することをコンセプトとしたファッションイベント『ファッションカンタータ from KYOTO』も今年で30回目を迎えます。

今年のテーマは「Present for our Future」。

ショーに先駆けて行われた記者会見には、吉田忠嗣会長、演出を務める中野裕之監督、松村沙友理さん、吉岡里帆さん、田村幸士さん、鮎川陽子さん、天瀬はつひさんの7名が登壇。

冒頭の挨拶で、

素敵なキャストを迎え、記憶に残るショーにしたい

と語る中野監督に、期待感が高まります。

上手より鮎川陽子さん、吉岡里帆さん、松村沙友理さん

上手より鮎川陽子さん、吉岡里帆さん、松村沙友理さん

松村沙友理さんは、染色作家である藤井裕也デザインの振袖で登場し、

「私の中のお着物のイメージとはちょっと違って、ハートがいっぱいの古風すぎないデザインが可愛いです!キュンキュンです!」

と、普段の愛称「さゆりんご」ちゃんから「ハートりんご」ちゃんへの変身をキュートにアピール

そのお隣で「可愛い!」と声を漏らした吉岡里帆さんは、竹久夢二の世界を体現するかのようなスタイリングが新鮮です。

「短い前髪のボブヘアがすごく気に入っています。帯とか着物の色合いや柄も個性的で、普段とは違う自分が出てきそうなワクワクする世界感を楽しんでいます」

と、にっこり。

京都出身ということもあり、家族や友人に見守られてのランウェイに向けての意気込みを語りました。

洋装のモデルを務める鮎川陽子さんは、パリコレ経験もあり、また本人もアート作品を手掛けるグラフィックアーティスト。

そして、ご両親はロックバンド「シーナ&ロケッツ」の鮎川誠さんとシーナさんです。

「日本の伝統と未来が融合したショーにワクワクしています。両親の影響で、小さな頃から革ジャンの中で育ちました。革は匂いや質感も魅力だと思います。 このような形でレザーファッションを着れて、とても嬉しいです」

とコメント。

三者三様の魅力を振り撒きながらのフォトセッションとなりました。

「きものと女性」江戸時代・明治時代

天瀬はつひさん

雨音のなか、頭巾姿で登場した天瀬はつひさん

ハンドパン奏者・馬暴さんの幻想的な生演奏に雨音が重なり、ショーの世界観に一気に引き込まれた幕開け。

暗闇から浮かび上がるのは、頭巾姿の天瀬はつひさん

天瀬はつひさん

頭巾がはらりと滑り落ちると美しい日本髪があらわに

宝塚歌劇団の娘役を経て女優として活躍する彼女が演じるのは、どうやら江戸の三美人と持て囃され、浮世絵師・鈴木春信の美人画のモデルにもなった「笠森お仙」のようです。

流れるような美しい所作が、江戸時代の粋な着物の着こなしを一層魅力的にみせていました。

2022.09.30

まなぶ

黒一色からフルカラーへ 「浮世絵きほんのき!」vol.2

舞台上にはレトロな写真機が一台。明治へと時代はうつります。

写真技師役は、阪東妻三郎氏を祖父に持つ俳優の田村幸士さんが務めており、バンドカラーシャツにベストを合わせた、いかにも明治という洋装ルックを品よく着こなしています。

写真機の前に縞の着物で駆け込んできたのは、鮎川陽子さん扮する「洗い髪のお妻」

洗い髪のお妻

上手より田村幸士さん、鮎川陽子さん

当時、東京中の花街から選ばれた芸者120人がエントリーしたという「東京百美人」なる日本初の美人コンテスト。

コンテスト用の写真撮影当日、身支度をして待つ彼女の元には約束の時間になっても髪結さんが現れません。仕方なく洗い髪のまま撮ったその写真が話題となり、一世を風靡したとのエピソードを彷彿とさせます。

写真に残っている実際のお妻さんも着ているやわらかそうな縞の着物と、当時は人前で見せることの珍しい、おろしたままのヘアスタイル。

その絶妙な「抜け感」と「色気」、そして髪をなびかせる鮎川さんの躍動感が印象的なシーンでした。

「きものと女性」大正時代

吉岡里帆さん

黒猫の手鏡を覗く吉岡里帆さん

音楽がコントラバスとアコーディオンのデュオ「mama!milk」の生演奏に変わると、時代は大正に。

どこかアンニュイな表情を覗かせる吉岡里帆さんが登場します。

取り出した手鏡で身だしなみをそっと確認する乙女のいじらしさが切なくも愛らしいワンシーン。

待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ
今宵は月も 出ぬそうな———

mama!milkのお二人

生演奏を披露した「mama!milk」のお二人

コントラバスの低音の旋律が、物語の余韻に美しく寄り添っていました。

「きものと女性」昭和・平成・令和・未来プロローグ

「mama!milk」の音楽ライブが終わると、短編の芝居仕立てのショーも一区切り。スピーディーなランウェイファッションショーが始まります。

最初に登場したのは、藤井裕也氏の絞り染めの振袖をまとった松村沙友理さん

松村沙友理さん

藤井裕也氏のハート柄の振袖をまとい「ハートりんご」ポーズをする松村沙友理さん

中野裕之監督からは「存分にさゆりんごさんらしく!とにかく楽しく!」とのアドバイスがあったと記者発表で話していたとおり、ハートやお星さまの柄ゆきにふさわしい、ポップでキュートなステージングで観客を魅了しました。

ベルベットのリボンを用いたヘアスタイリングもバランスが絶妙で、とてもお似合いです。

ランウェイでは藤井裕也氏、西田裕子氏、横山喜八郎氏、斉藤上太郎氏、細田あずみ氏、羽田登喜氏の作品がそれぞれ4点ずつ披露されます。

西田裕子氏の作品

西田裕子氏の作品

西田裕子氏の作品

西田裕子氏の作品

音楽、照明、着付け、メイク、ヘア、モデルのウォーキング、ポージング、その一つひとつがコレクションの世界観を構築するピースだということが感じられます。

横山喜八郎氏の作品

横山喜八郎氏の作品

斉藤上太郎氏の作品

斉藤上太郎氏の作品

なかでも、モード感漂う斉藤上太郎氏のコレクションでみせたパンキッシュかつ、品のあるヘアスタイルが印象的です。

今回のショーでは、シニアヘアメイクアップアーティストの鎌田由美子氏が総合チーフを務める「資生堂ビューティークリエイションセンター」がヘアメイクを担当。

伝統を継承しながらもチャレンジを感じさせるスタイルで、斉藤氏からのオーダーに攻めの姿勢で見事に応えていました。

細田あずみ氏の作品

細田あずみ氏の作品

細田あずみ氏のコレクションは、共柄の日傘とのコーディネートが個性的。

情熱的な薔薇かと思いきや、よく見ると大胆にタコをあしらった柄など、遊び心の感じられるコレクションで会場を華やかに盛り上げます。

西田裕子氏の作品

羽田登喜氏の作品

羽田登喜氏のコレクションを爽やかに着こなした吉岡里帆さんがトリを務めました。

羽田登喜氏の作品

羽田登喜氏のコレクションでトリを務める吉岡里帆さん

6作家×4点、全24点の圧巻のランウェイコレクションでした。

洋装「創悦」 スポーツコレクション/ウエアラブルコレクション

今回のファッションカンタータ洋装の部でコレクションを披露したのは、レザーブランド創悦(souetsu)です。

創悦

創悦のスポーツコレクション

「スポーツコレクション」「ウエラブル“未来”コレクション」と2つの異なるコンセプトの2部構成で、ネオンの照明や音楽も相まってフューチャリスティックな雰囲気。和装のショーとは異なる世界観で観客を魅了しました。

鮎川陽子さん

ウエアラブルコレクションを披露する鮎川陽子さん

鮎川陽子さんが着用されたウエラブル“未来”コレクションのポンチョタイプのバッグは、和装にショート丈のコートとして合わせてもおしゃれなのではと感じるほど、タイムレスなファッションの魅力がありました。

着用衣装を京都駅ビルにて展示

フィナーレ

フィナーレの様子

フィナーレは、全員揃って笑顔でご挨拶を。

客席からは惜しみない拍手がおくられました。

今回の"Fashion Cantata from KYOTO"のショーで使用した和装・洋装衣装は、Fashion Cantata Exhibitionと題して、2024年6月30日まで展示が行われますので、どうぞお見逃しなく!

第3弾 Fashion Cantata Exhibition
場所:京都駅ビルインフォメーション前、西口広場、京都伊勢丹11階
期間:6月16日(日)~6月30日(日)
内容:"Fashion Cantata from KYOTO"のショーで使用した和装・洋装衣装の展示

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