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八掛とは? 種類や特徴、選び方をわかりやすくご紹介

八掛とは? 種類や特徴、選び方をわかりやすくご紹介

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「八掛」とは、袷着物の裾や袖口につけられる裏地のこと。八掛にはいくつか種類があり、表地の生地やTPOなどに合わせて選びます。八掛の名前の由来や役割、選び方についてご紹介いたします。

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袷着物の袖口や裾裏、胴裏につける裏地を「八掛はっかけと呼びます。

チラリとしか見えない八掛ですが、色柄を工夫するとぐっとオシャレになるため、着物のイメージを大きく左右する重要な部分でもあります。

「八掛」という名前の由来や目的、種類、そして選び方について紹介します。

八掛とはどういうもの?

八掛とはどういうもの?

「八掛」は、袷の着物についている裏地のこと。

袖口、前身頃、後ろ身頃、衽(おくみ)裏の合計8か所につけることから、「八掛」という名がつきました。また、つける場所から「裾回し」や「裾取り」とも呼ばれます

八掛は、袖や裾から1~2mmほど出るように仕立てるのがその特徴。

これは、袖口や裾の生地を保護するためです。表からも見えるようにつけるため、着物の表地と異なる色柄の生地を使い、おしゃれのアクセントとすることもあります。

また、裾に八掛をつけると足さばきがよくなるというメリットもあります。

胴裏との違いは?

着物の裏地には八掛のほか、胴の部分につける胴裏どううらと呼ばれるものもあります。着物を着ると見えなくなるため主に白い生地が使われます。また、脱ぎ着がしやすいように、羽二重などのなめらかな生地が使われることも特徴です。

着用される方のお好みで、胴裏をつけずに仕立てる「胴抜き仕立て」をすることもありますが、袷着物と同じシーズンにお召しいただく場合、胴抜きであっても八掛はつけられています。

八掛の主な種類

八掛の主な種類

無地八掛

無地八掛は、白生地を無地に染め上げた八掛のこと。スタンダードな八掛で、どちらかというとカジュアル寄りの着物につけられることが多い八掛です。

ぼかし八掛

ぼかし八掛は、白生地をぼかし染めにした八掛のこと。スタンダードな八掛で、フォーマル寄りの着物からカジュアル寄りの着物にまで広く用いられます。

淡い色目の着物に無地八掛を合わせると胴裏との境目で色が表に透けてしまうため、ぼかし染めの八掛で表地に響かないようにしつつ、色遊びを楽しむという効果もあります。

紬八掛

紬八掛は、先染め糸を用いて織りあげられた八掛のこと。主に紬などの織りの着物に用いられます。

共八掛

共八掛は、表地と同色同生地の八掛のこと。一般的に留袖や訪問着などのフォーマル着物では、表地を染め上げる際同時に、同生地の八掛も染め上げられます。

柄八掛

柄八掛は、柄が入った八掛のこと。全体的に柄が入ったものや、ワンポイントの柄を入れたものなどがあり、カジュアルな着物に使われます。

紬用の八掛について

紬用の八掛について

着物は、大きく「やわらかもの」と「かたもの」に分けられます。

「やわらかもの」は生地を織り上げてから染めや柄をつけたもので、「かたもの」は先に糸を染め織り上げたものです。紬は、先染めの糸を織り上げる「かたもの」です。

そのため八掛も同様に、先染めの生地を用いるのが一般的。紬用(かたもの用)の八掛が別にあるのは、「やわらかもの」と「かたもの」では、湿気の吸ったときの収縮率が異なるためです。

ただ先染めの生地は傷みやすいため、頻繁に着物を着る人のなかには、あえて紬に「やわらかもの」用の八掛を選ぶ人もいます。

八掛を選ぶ際は、表地に適した生地・色柄、そして着用場面を考えて選びます。

絹などの「やわらかもの」には「やわらかもの」用の、紬などの「かたもの」には「かたもの」用の八掛を選びましょう。

フォーマルな着物には、同色もしくは同系色がおすすめ。

カジュアルな着物には、反対色を選んでお洒落な雰囲気にしたり、同色で控えめにしたりと、誂える方のお好み次第でお決めいただけます。

同色~同系色の八掛は落ち着いた印象になり、反対色などアクセントカラーの八掛は華やかな印象になります。

反対色であっても明るさや濃さを表地と近いものにすると大人な印象に、ビビッドな色や柄付きの八掛を使うと個性的でオシャレ度が増します。

ただし、淡色の着物の場合は八掛が濃色だと表に透けてしまうので、白や淡色の八掛、ぼかしの八掛を合わせます。なお、八掛に年齢的なきまりはないので、どのような印象を与えたいかを考えて選びましょう。

八掛のまとめ

着物の裏地である八掛は、袖口や裾を保護するだけでなく、ちらりと見える色や柄で色合わせのおしゃれなども楽しめます。

表地の素材や色、着用シーンに合わせた八掛を選んで、あなたらしい着物のおしゃれを楽しんでみてはいかがでしょうか。

八掛選びが難しいときには、あらかじめ八掛がつけられたお仕立て上がりの着物を選ぶのもおすすめです。着用シーンや表地に合った八掛つきの着物を、ぜひ参考にされてください。

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