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父子競演が話題！鬼の長谷川平蔵の過去と現在が交錯する『鬼平犯科帳血闘』「きもの de シネマ」vol.47

父子競演が話題！鬼の長谷川平蔵の過去と現在が交錯する『鬼平犯科帳血闘』「きもの de シネマ」vol.47

2024.05.09

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銀幕に登場する数々のキモノたちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だってキモノで愉しみませんか。20本を超える5月10日公開作の中からピックアップしたのは、十代目・松本幸四郎主演で新たに映像化された時代劇シリーズの劇場版『鬼平犯科帳血闘』です。鬼平誕生の物語を、ぜひスクリーンで！

平蔵がまだ“本所の銕”として町を闊歩していた頃に入り浸っていた酒場の娘・おまさ（中村ゆり）が鬼平の前に姿を現し、密偵になることを申し出るところから物語は始まります。

原作（一巻「本所・桜屋敷」所収）に「本所には彼の〔青春〕がある。」と書かれているように、青春時代を過ごした町・本所は鬼平のルーツを語る上で欠かせない場所。その本所で起る事件こそが、本作の肝。おまさとの再会が、平蔵にその苦い過去を思い出させるのです。

レギュラーキャストに加えて、松本穂香さん、志田未来さん、北村有起哉さん、柄本明さん、中井貴一さんらが劇場版キャストとして登場します。

とくに、柄本明さんは1989年に「鬼平犯科帳1」（フジテレビ系）にて同心・小野十蔵役で出演した過去があり、その同じ役を、彼の次男・時生さんが演じているのも、シリーズファンにはたまらないポイント。

SEASON2の伏線となる彼の動向に注目あれ。

「鬼平犯科帳」は、時代小説の金字塔であり、中でも捕物帖とりものちょうの代表格。単なる捕物の記録ではなく、人情味あふれる事件背景や裁きの描写が魅力の名作です。つまり、与力・同心に悪党どもと、登場人物の多くは男たちです。そう、大半の画面がなかなかに渋い！

男性陣の着物の見どころは、縞模様の多様さにあると存じます。縦縞（ストライプ）に横縞（ボーダー）はもちろん、格子（チェック）の種類もさまざま。地味ゆえの趣もまた、味わい深いものです。

映画と演劇が大好物で、年間200本を超える新作を劇場で観る本の虫（雑食）。京都歴・キモノ歴ともに20数年。美酒美食に目がないのんべぇライターとしてKBS京都「SUNNY TIME」のコメンテーターをはじめ、関西テレビ「よ～いドン！」やMBS「魔法のレストラン」などメディアへの出演も多数。15年以上前から、国語講師との二足の草鞋を履いている。共著に『京都、朝あるき』（扶桑社）。