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祇園『エメラルド美容室』でヘアセット 「京都できもの、きもので京都」vol.10

祇園『エメラルド美容室』でヘアセット 「京都できもの、きもので京都」vol.10

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「あなたの笑顔を見ていたら、ちょっとイタズラしたくなったわ。ここにハートを忍ばせましょうね」と、福谷先生。前から見たときにトップの部分にハートの形が浮かぶように、頭頂部の髪をセットしてくれました。

2024.02.26

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憧れの『エメラルド美容室』でヘアセットしていただきました

祇園縄手通のエメラルドさんでヘアセットしてもらうのは、長年の願いでした。

エメラルドさんでヘアセット

シンプルな結髪から、婚礼の日本髪、ちょっと面白い作り髪まで、どんなリクエストにも応える技術、短時間で保ちのよい仕上がり……

いろんな方からウワサをお聞きしていたので、わくわくしながら祇園へ向かいました。

米寿を迎える福谷房子先生の、優しくなめらかな“魔法の手”

外観

昔ながらの美容室の外観は、子どもの頃よく耳にした「パーマ屋さん」の佇まい。ホッとする懐かしさがあります。

福谷房子さん

出迎えてくれたのは、福谷房子さんとお嬢さん

房子さんのことはみなさんよく「福谷先生」と呼ばれますので、私も「先生」とお呼びしました。

できるなら、櫛や簪を持参し、着用する着物や帯をお見せして「こんなふうに」と具体的なイメージを伝えた方がいいのですが、初対面の私を見て、先生がどんなふうに髪を作ってくれるのかに興味があったので、着用する着物の写真と出かけ先だけお伝えして、あとはお任せしました

カーラーを巻いていきます

先生は「前髪は生かしましょうね」と即座におっしゃり、カーラーを巻いていきます。

楽しくおしゃべりしながらも手が留守になることはなく、時々スプレーを軽くかけながら、コームと手を使って曲線と丸みを出していきます

コームと手を使って曲線と丸みを出していきます

Uピンを使う時には「痛かったら言ってね」とおっしゃいますが、一度もピンの先が地肌に触ることはなく、ふんわりとまとまっていくのです。

「エメラルドさんの作る面は本当にきれい」と耳にしていましたが、私の白髪混じりのパサついた髪が、ツヤっとした丸みを描くのはまるで魔法を見ているかのよう

そして、先生の手の白くきめ細かな肌、優しくて温かな感触に驚きました

ピンの先が地肌に触ることはなく、ふんわりとまとまっていく

御年87歳、今年は米寿、この道に入られて70年。尊敬しかありません。

この道に入られて70年。尊敬しかありません

今日は水色の日!セーター、ブローチやマスク、髪に巻いたカーラーも

先生の可愛い思いつきもうれしくて、つい口角も上がります

先生は「あなたの笑顔を見ていたら、ちょっとイタズラしたくなったわ。ここにハートを忍ばせましょうね」と、髪を持ち上げます。

前から見たときに、トップの部分にハートの形が浮かぶように、頭頂部の髪をセットしてくれました。そんな先生の可愛い思いつきもうれしくて、つい口角も上がります。

トップの部分にハートの形が浮かぶように

先生は今日は全身水色ですが、赤の日、ピンクの日などもあるようですね?とお聞きしました。

「若い頃からずっと黒い服を着て仕事をしてきたんですけど、80歳を機にもっと明るい色を着ようと思ったの。日によって色を変えて全身コーディネートするようになったら、とても元気になってね」と先生。

一日一日がとても大事で幸せになりました

「日々なんとなく無意識に流すのではなく、“有意識”であることを心掛けると、一日一日がとても大事で幸せになりました」とおっしゃいます。

60代の一時期は、ご主人の看病と自身の病気が重なり、髪が抜けてしまったこともあったそう。そこから20年を経て髪も肌もツヤツヤです。

お元気の秘訣をお聞きしたら、飲み物を教えてくれました。

毎日お抹茶を飲み、喉が渇いたら梅干し入りのお水を飲むそうですよ!

トップの部分にハートの形が浮かぶように

トップにハートとは!

20人以上のヘアセットをする日も。短時間に仕上げる技あってこそ

たった22分でセット完了

ぎゅっと締め上げるでもなく、ピンやスプレーを大量投入するでもなく、和やかにおしゃべりしながら、ふんわり気持ちよく仕上がって。

時計を見ると、たった22分でセット完了でした。

私のしていたゴールドのピアス3つを見て「ピアスは外さないでね」ともおっしゃって、いろんなバランスを見てセットしてくださったのを感じました。

いろんなバランスを見てセット

以前、京都の展示会で和装の数人グループとお会いしたら、みなさん黒柳徹子さんふうの玉ねぎヘアでばっちり決めてらして「どちらでやってもらったんですか?」とお聞きしたら「エメラルドさんですよ」と。

今回、とあるお席でご一緒した着物姿の親娘さん、すっきりまとめたお母さまと、はんなりやわらかな和髪のお嬢さま、お二人もエメラルドさんでセットされてきたとお話しされました。「時間もかからなくてラクですよね」と。

イベントがなくてもまた気楽にお願いしたい

場所柄もよく、どこに行くにも便利で、30分以内で仕上がるのなら、特別なイベントがなくてもまた気楽にお願いしたいし、何よりチャーミングな先生からパワーをもらいたいなあと思います。

次は、櫛や簪をお持ちして、前髪を上げた束髪にしたいなあ、なんて妄想。

福谷先生、どうぞいつまでもお元気で!

福谷先生、どうぞいつまでもお元気で!

本日の着こなし

桜の帯を下ろしました

そろそろ桜の開花予想が聞かれるようになりました。京都は3/21開花、満開は月末ごろになるとか。

そんな時期ですので、桜の帯を下ろしました黒い紬地にデフォルメされた桜が描かれて、白の縁取り、金銀の彩色が静かに施されています。

黒い紬地にデフォルメされた桜

長年、桜の帯を探してきましたが、私の気持ちに刺さるものがなく、とうに諦めていました。

昨年の京都きもの市場仙台展示会で、銀座店の店長さんとよもやま話をしていたとき、京都小阪のこの「チェリーブラッサム」を偶然手にしました

広げてみたとき、心がざわっとしたのを覚えています。

私にとっての桜は、坂口安吾の『桜の森の満開の下』。ちょっと怪しく、狂気をはらんだような……

京都小阪の「チェリーブラッサム」

日本の国花でもあり、俳句では「花」という季語は「桜」を意味します。

そういう花だからこそ、個人的な桜が欲しかったのです。まさに私の桜のイメージにぴったりでした。

着物は花織と浮織の紬で、知り合いのお母様のお下がりです。

どこの何かとよく尋ねられますが、わかりません。でも、春の普段着として毎年何日か着る、この時期の定番です。

着物は花織と浮織の紬

ピンクのポーチは、『よねざわ新田』でいただいた紅花染め。ふだんはバッグインバッグとして、小物や化粧品を入れて旅支度に使いますが、こういう季節ですから外に持ち出しました。

帯揚げやリングもピンクで、桜に寄せてみました

道明の冠組も灰桜色、帯揚げやリングもピンクで、桜に寄せてみました。

撮影/弥武江利子

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