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着物で”花”になる春 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.11

着物で”花”になる春 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.11

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桜開花のニュースなどを聞くと、お花見が楽しみになります。「桜をまといたい」と思うのは私だけではないような…… 桜色や桜模様の着物で”花”になりませんか?

2024.02.20

よみもの

着物姿に春の気分、どう楽しむ? 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.10

桜をまといたい春

大久保先生

寒さも少し和らぎ、春を感じるこの頃です。

桜開花のニュースなどを聞くと、お花見が楽しみになります。「桜をまといたい」と思うのは私だけではないような…… 

桜色や桜模様の着物で”花”になりませんか?

桜の着物はいつから着ていい?

桜は日本の「国花」なのだから年間を通して着てもいい、といわれています。

四季の花々が描かれた訪問着や振袖には桜が描かれることが多くありますから、これなら通年楽しめます。

よくいわれるのは「花だけなら通年、枝が描かれている場合はその季節限定」

でも私は、桜の着物はその季節にこそ着たい。

大久保先生 空を見上げて

着る時期ですが、2月下旬から楽しんでしまうのもありですが、3月上旬には「桃の節句」がありますから、それ以降がいいのではないでしょうか?

着物は、季節を感じてもらえる衣裳だと思っています。

その装いを見た人が「ああ、桜の季節なのね」と思ってくれたらうれしい。

古から愛された桜モチーフ

桜の意匠の着物は千差万別。

桜は平安時代に奈良の吉野山の山桜を里に植えたことで身近になり、それを貴族たちが愛でるようになったとか。戦国時代には、その散り際の潔さが武士の心情と重なり、着物にも取り入れられるように。

江戸時代になり、八代将軍・徳川吉宗によって江戸のあちこちに桜が植えられ名所となり、庶民が花見を楽しむようになりました。花見のために前々から準備し、見合った着物を誂える人もいたそうです。

雅であり、幽玄、無常なども感じさせる桜は日本人の美意識に影響を与えている、といっても過言ではないと思います。

桜の着物を一枚は持ちたい

大久保先生2

ちょっと小粋な江戸小紋から豪華な振袖まで、着物に描かれた桜の風情はいろいろ。そのなかから、私のおすすめをご紹介いたします。

小桜

【染工房かねだ 二代目・金田昇】江戸小紋着尺「桜尽くし」

【染工房かねだ 二代目・金田昇】江戸小紋着尺「桜尽くし」

小さな桜花を一面に散らした江戸小紋。季節を問わず、通年着られます。街着や友人たちとの食事会などににピッタリ。

桜花びら

伊勢型小紋「桜」

伊勢型小紋「桜」

花びらを散らした模様。小紋などに多い。近くで見てやっと桜の花びらとわかることも。小桜同様街着に最適。

吉野川

川の流れと桜の組み合わせ。川面を流れる桜のイメージです。訪問着や付け下げに多い。ちょっとおしゃれな集まりに。

花筏

【上野街子】友禅訪問着「四季花草花筏文」

【上野街子】友禅訪問着「四季花草花筏文」

舞い落ちた花びらが岸辺に集まるさまを筏になぞらえた模様。「沈まずに浮かんでいて」という願いを込めたともいわれています。     

しだれ桜

訪問着や付け下げなどの肩から胸元にかけて描かれることが多い。小紋柄として全体的に描かれることもある。

このほかにも、桜吹雪のように降り注ぐ花びらを描いたり、黒地に夜桜と月など、絵画のようなものもあります。

最初の一枚を選ぶなら、江戸小紋の小桜がおすすめです。地色を選べば、どの年代でも楽しめると思います。

野暮ったくならないコーディネートとは?

桜の着物に桜の帯の組み合わせは素敵です。

「同柄同士は野暮」ともいわれますが、私はいいと思います。だって桜ですもの。

大胆な柄同士は難しいですけれど、着物を目立たない小紋柄にして、帯にさりげなく桜があるのはかえって上級者の技を感じます。

不安ならどちらかを無地にすると桜が引き立ちます。桜は無敵ですから。

夕暮れ時に夜桜の着物を着ていたら、感服してしまう。静寂に包まれた夜桜を先取りする小粋さがいいです。

こんなふうに、遊べるのも着物ならでは。

紬で春を演出するには色や帯で

紬はどちらかというと温かみを感じさせるものが多いのですが、大島紬は表面がつるりとしていて、光沢感やシャリ感があり、春先にピッタリな紬です。

なかでも「白大島」がおすすめです。

そこに桜が描かれた塩瀬の帯などをあわせれば最高です。

他の紬も、渋い色ではなく明るめを選び、帯に桜や春を感じさせる柄を締めれば春らしい装いになります。

帯留めなどの小物で演出するのもいいですね。思い思いの春を楽しんでほしいです。

大久保先生3
桜コーデ
桜色の着物と帯

構成・文/大澤はつ江
人物撮影/五十川満

ITEM

記事に登場するアイテム

着物: 紋意匠色無地 「紗綾形に唐花(灰梅色)」

帯:総手刺繍袋帯 「流水桜花文」

帯締め:【衿秀】 大和高麗組帯締め「 矢羽根無地 銀ちらし 淡黄色」

帯揚げ:【加藤萬】 唐織ぼかし帯揚げ 「桐菊唐草襷紋 浅黄色」

【吉澤の友禅】 十日町友禅訪問着 「絢爛桜文」

【一流染匠 菱健】 友禅訪問着 「四季の庭・薄桜色」

【藤村建雄作】 加賀友禅訪問着 「花水木小枝散し」

【にいもと浩志】 辻ヶ花絞り染訪問着 「慶長桜」

【染匠市川】 友禅丸巻き訪問着 「山暈し桜」

友禅訪問着 「流水桜文」

友禅小紋着尺 「枝垂れ桜熨斗文」

京友禅塩寸名古屋帯「桜 黒」

京友禅名古屋帯 「桜 青藤色」

【川島織物】 引箔本袋帯 「柳桜春錦」

京友禅名古屋帯 「桜吹雪」

【24算 15マルキ総絣】 白大島紬 ~優粋~「奄美の遺産」

【桑原織物 弐代目桑原啓之介】 白大島紬 7マルキカタス式「永原」

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