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子どもたちの瞳が輝き出す! 尾上博美先生が教える5歳児クラスの日本舞踊(前編)「日本舞踊の愉しみ」vol.1

子どもたちの瞳が輝き出す! 尾上博美先生が教える5歳児クラスの日本舞踊(前編)「日本舞踊の愉しみ」vol.1

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尾上流日本舞踊の師範で、和ランジェリー『Wafure』の代表を務める尾上博美先生。5歳の子どもたちに日本舞踊や浴衣の着付けを教えているとのことで、その模様に密着しました。子どもたちの真剣な眼差しにもご注目ください!

尾上博美先生が子どもたちに教える日本舞踊

その場にいるだけで、周りをパッと明るくするハッピーオーラ満載!尾上流日本舞踊の師範であり、着物愛好家に大人気の和ランジェリー『Wafure』の代表でもある尾上博美先生

2022年に東京・丸の内KITTEで開催された京都きもの市場の展示会では、トークショーにご出演いただき、大変好評をいただきました。

2022.06.22

イベントレポート

「日本舞踊と“恋するWafure”」 尾上博美先生 日本最大級きもの展示会2022@東京丸の内KITTE イベントレポート vol.2

日本舞踊をご披露いただいた際の優美で美しいお姿や、その気さくでハツラツとしたお人柄ですっかりファンになってしまった方も多いのではないでしょうか。

お稽古前の挨拶をする尾上先生

日本舞踊家・尾上博美先生

そんな尾上先生が何やら興味深い活動をされているとのことで、この度取材に行ってまいりました!

私たち取材班が訪れたのは、株式会社ニュー・クックリーフが運営する『若葉インターナショナル幼保園 行徳園』。2016年4月に開設された千葉県認可保育園です。

『若葉インターナショナル幼保園 行徳園』の教室

外国人ティーチャーが常駐する同園では、生きた英語で子供たちの国際性を養うとともに、リトミックをはじめとした表現教育や専門講師によるさまざまなプログラムを通じて、「自分で考え、自分の意志で行動できる思いやりのある子ども」を育て、世に送り出しています。

そんな同園と尾上先生にどんな関係が……?と思われるかもしれません。

実は尾上先生、3年前からこの園で年長組の子どもたちに日本舞踊を教えているのです!

若葉インターナショナルの子どもたち

月に2度のペースで、子どもたちは尾上先生の指導のもと、一年の集大成となる発表会で披露する演目の練習に励んでいるとのこと。

子どもたちに日本舞踊を教える博美先生

ぜひともその様子を見せていただきたい……!と園にお願いしたところ、快くお引き受けいただき、今回の取材が実現しました。

この取り組みについて、尾上先生や総括園長の渡邉文子先生にも詳しくお話を伺いましたが、まずは当日の模様をお届けします

5歳で自装!浴衣が育む日本の精神

千葉県の行徳駅で尾上先生と待ち合わせし、そこから徒歩5分圏内にある園に向かいます。

すると、あふれんばかりの笑顔で迎えてくださったのは、とっても気さくな先生方!親御さんたちが安心して子どもを預けられるようなホスピタリティ溢れる対応に早速感動させられました。

『若葉インターナショナル幼保園 行徳園』の先生方と尾上先生

(左から)行徳園の石井園長、主任のたいこ先生、尾上博美先生、総括園長の渡邉文子先生、外国人ティーチャーのキース先生

日本舞踊の時間は、同園主任のたいこ先生も浴衣姿でご登場。尾上先生をサポートされていらっしゃいます。

たえこ先生と

さて、撮影の準備をしていると……

総勢13名となる年長の子どもたちが続々と教室に集まってきました!

5歳児クラスの女の子たち

5歳児クラスの女の子たち

この日は午前中に公園でいっぱい遊んだそうで、「疲れてないかな?」「大丈夫かな?」と心配していましたが、お昼寝ですっかり回復した様子。先ほどまで静かだった教室が子どもたちの元気な声であふれます。

カメラにも興味津々で、取材陣にも積極的に話しかけにきてくれました。

日本舞踊の時間は挨拶から始まります

日本舞踊の時間は挨拶から始まります

ですが、ご挨拶の時間になると途端に真剣な眼差しに。正座で背筋を伸ばし、尾上先生の話にもしっかり耳を傾けます。

さらには「よろしくお願いします!!」と元気よく挨拶し、しっかりと頭を下げてお辞儀。

綺麗なお辞儀で博美先生に敬意を示す子どもたち

年長さんとはいえ、まだ5歳にもかかわらず、こんなにもけじめのある行動を取れるなんて……驚きです!

最初は練習時間も男の子と女の子でそれぞれ30分ずつでしたが、どんどん子どもたちの集中力が上がり、今では1時間にまで伸びました

浴衣は各ご家庭で準備。自分の好きな色と柄の浴衣で参加します

浴衣は各ご家庭で準備。自分の好きな色柄の浴衣で参加します

ちなみに演目が男女に分かれているため、練習も女の子と男の子に分かれているそう。また本番は振袖ですが、練習は浴衣で行います。

そしてなんと……着付けをするのは子どもたち自身!

風呂敷に包まれた浴衣を持ってくると、子どもたちは当たり前のように自分で着始めます。これは一体どういうことなのでしょうか。

まずは足袋を履くところから

まずは足袋を履くところから

男の子も袴ではなく浴衣で参加

男の子も浴衣で参加

実は、若葉インターナショナルの幼保園では、昨年から「浴衣DAY」をスタート子どもたちに日本の文化に触れてもらうため、月に一度浴衣で過ごす時間を設けているのです。

尾上先生は日本画家で和服研究家の成願義夫さんが立ち上げた『和装授業推進会議』のメンバーでもあり、その活動の一環としてこの園でも子どもたちや先生方に着付けを教えています。

博美先生は教えるのが上手と園の先生方にも評判

対象は年中の4歳児と年長の5歳児クラスの子どもたち特に年長さんたちは慣れたもので、自分一人で着られる子がたくさんいます。

もちろん大人でも難しい着付けですから、一人では迷うところも。そこは尾上先生や他の先生方がサポートに入り、一つひとつ丁寧にコツを教えていきます。

特に難関なのがちょうちょ結び。大人でも意外と難しいものです

子どもたちにとって難関なのが「ちょうちょ結び」。先生方が丁寧に教えます

着れたらそれで終わり……ではありません。

浴衣を着終わると子どもたちは、当たり前のようにそれまで着ていた制服を畳んで風呂敷の中にしまいます

脱いだものは畳んで、しまう――そんな日本の美学も、浴衣を通して学んだことのひとつです。

慣れてくると、他のお友達が困っているときに「ここはこうやってやるんだよ」と教えてあげられる子も。助け合いの精神も自然と育まれていることがわかりました。

制服もしっかりと伸ばし、綺麗に畳みます

制服もしっかりと伸ばし、綺麗に畳みます

最後は風呂敷でキュッと包んだら完了!

最後は風呂敷でキュッと包んだら完了!

子どもたちのポテンシャルを引き出す日本舞踊

博美先生の質問にしっかりと答える子どもたち

浴衣に着替えたら、いよいよ日本舞踊のレッスンがスタート。

「今日はカメラが入っています。素敵に撮ってもらいたい人!」という尾上先生の問いかけに、みんな元気よく手を上げてくれました。

扇子の持ち方からじっくりと教えていきます

扇子の持ち方からじっくりと教わります

事前に取材があるという話は他の先生方からも聞いており、「笑わず真剣な顔で写る!」と気合い十分だったそう。

時折カメラをちらっと気にする姿も、とっても愛くるしい!

自分の手を確認し、細かな仕草も気をつけています

自分の手を確認し、細かな仕草にも気をつけて

まずは扇子の持ち方から復習していきます。

右手で持ち、左手で支える――この辺りはもうお手の物!

浴衣の袖を持ちながら、まっすぐ前に歩く

浴衣の袂を持ちながら、背筋を伸ばしてまっすぐ前に歩く

こちらは移動の練習

教室の床には目印となる養生テープが貼ってありますが、目線をまっすぐ前に向けたまま、まっすぐ歩くのはなかなかの難関です。

何度も繰り返し練習しながら、身体に感覚を覚えさせていくことが必要となります。

博美先生のお手本を見て動きを確認

また、日本舞踊で特に難しいのはリズム。複雑な拍子の古典曲に合わせてうまく踊るには長年の感覚が必要で、大人でも習得するのは時間がかかります。

そのため、最初から音源を流すのではなく、曲を口ずさみながらゆっくり丁寧に一つひとつの動きを教えていく尾上先生。それを聞き逃すまいと、騒いだりよそ見したりすることなく真剣に取り組む子どもたちの姿が印象的でした。

真剣な子どもたちの表情
練習中もよそ見をすることはありません

女の子たちが今回の演目で演じるのは”梅の姫様”。

ひと通り動きと流れを覚え、たいこ先生からOKが出たら、今度は扇子を梅の枝に持ち替えて踊ります

梅の枝を持った途端、女の子たちの瞳がキラキラと輝きを増して!

可愛らしい梅の枝に思わずテンションが上がります

可愛らしい梅の枝に思わずテンションが上がります

楽しそうに練習する子どもたち

楽しそうに練習する子どもたち

一方、男の子たちは、刀を用いた演目に勇ましくチャレンジしています!

途中から本番で使う刀を使って練習

模造刀とはいえ、危ない使い方をすると怪我をし兼ねません。そのため、先生たちは必ず、「刀を振り回したり、お友達に向けたりしないこと」を約束した上で子どもたちに渡しているそう。

女の子も男の子も受け取る際には、もちろん順番を守って。そうやって一つひとつ社会性も身につけていきます

刀を鞘に収める姿も決まっています!

刀を鞘に収める姿も決まっています!

練習もいよいよラストスパート!

最後の10〜20分はこの日覚えたところまで、曲に合わせて一気に踊ります。

曲に合わせて踊る子供たち

ここまでみっちり練習し、体も頭も疲れているでしょうに集中力は全く落ちません

取材時には発表会までまだ残り4ヶ月あったにもかかわらず、完成度の高い踊りを披露してくれました。

手もしっかりと横に伸ばしています

腕もピンと真横に伸ばして

表情や仕草も、浴衣を着る前と着た後では全然違っています。

一部始終を動画でお見せできないのが残念ですが、背筋や手の先までピシッと。それでいて動きはゆっくりなめらかで、子どもたちが大人のように見える瞬間が多々あるのです。

改めて子どもの持つポテンシャルの高さ、そしてそれを引き出すこの取り組みの奥深さを知りました。

日本舞踊

きりりと、この眼差し!

梅の精を美しく見せる仕草も身についています

こちらはたおやかな”梅の姫様”

もう一つ驚くべきは、子どもたちに“やらされている”感が全くないということ。

多くの子たちは年中さんの時に発表会で、年長さんたちの日本舞踊を見ています。また、ご兄弟・ご姉妹で同じ園に通っている子たちも多く、

「自分もいつか振袖を着て舞台に立ちたい」
「お姉ちゃん、お兄ちゃんのように踊れるようになりたい」

という目標を持って練習に励んでいるのです。

この日はみんな満足のいく踊りができたようです

この日はみんな満足のいく踊りができたようです

刀と扇子の両方を使った踊り

刀と扇子の両方を使った踊り

だからこそ、尾上先生の言うこともしっかり聞いて一生懸命に。

まさに若葉インターナショナルの保育理念に沿う「自分で考え、自分の意志で行動できる思いやりのある子ども」たちばかりです。

扇子は前に置き、最後まで指導してくれる博美先生への敬意を忘れず

扇子を前に、最後まで指導してくださる尾上先生への敬意を忘れず

深々とお辞儀

深々と一礼してお稽古を終えます

最後は先生方と向かい合い、「ありがとうございました!!」の挨拶で締めくくります。

その後は、また浴衣から制服にお着替え浴衣もきちんと畳んで風呂敷にまとめるまで、が日本舞踊の時間です。

風呂敷にきちんと畳んだ浴衣を包んでしまう子どもたち

浴衣をしまうところまで、子どもたち自身で行う

外に出たら、もう日が落ちかけていました。お迎えの時間が来て、子どもたちは親御さんたちと一緒に帰宅していきます。

なかには、これから別の習い事に向かうという子も。

浴衣を自分で着たり、日本舞踊を少しずつマスターすることで自信が身につき、また他のことも頑張れるという側面もあるのでしょう。

若葉インターナショナル幼保園 行徳園』の外観

実際にこの取り組みを始めてから、子どもたちにはどんな変化があったのでしょうか。

後編では、博美先生や総括園長の渡邉先生にお話を伺っています。公開をお楽しみに!

指導する尾上博美先生

撮影/TADEAI 久野藍

2022.02.09

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