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華やかなお席を盛り立てる装い 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.11

華やかなお席を盛り立てる装い 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.11

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京都祇園、ニューヨーク、東京と、3都市の着物スタイルを知る今井茜さん。「女性らしさ」や「上品さ」をキーワードとして、装う方の魅力を引き出すコーディネートをご提案します。

2023.12.19

まなぶ

12月の魔法に身を包んで 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.10

文様を観る視点

茜さん

新年を迎え、縁起を担いで1月1日11時11分に、お世話になっている方々へご挨拶メッセージをお送りしました。

過去の経験から得た教訓を胸に、新たな挑戦と成長の一歩を踏み出す喜びを感じています。

2024年が、みなさまにとって素晴らしい年になりますように。

茜さん正座

過日、根津美術館で開催中の企画展『「繡と織」-華麗なる日本染織の世界』と、丸紅ギャラリーにて開催されていた『源氏物語 よみがえった女房装束の美』を観に行ってまいりました。

「繡と織」-華麗なる日本染織の世界
源氏物語 よみがえった女房装束の美

染織作品に目が行くのはもちろんですが、今回は「左右対称を基本とした時代から非対称になる流れ」という視点で観てきました。それが大きく変化する江戸中期に流行った柄は、今回のコーディネートでも見ていただけます。

また、広く着物を楽しめる時代になり、文様を視覚的に楽しむだけでなく「制作された背景を楽しむようになった流れ」についても学ぶことができました。

人間の関心とはいつの時代も尽きないもの

付加価値を見出すことに関心が寄せられたという点でとても興味深く感じるとともに、人の知的好奇心はいつの時代も変わらないもの、と感慨深く思うひとときでした。

新年に相応しいコーディネート

社会と身体の境界である衣服として、着物には本当に素晴らしい役割があると思います。

四季折々の歳時記に寄せて気持ちを表現したり、お祝いのシーンならその意味が込められたものを着用するなど、みなさまも無意識にされていらっしゃるのではないでしょうか。

とりわけ新年には、長寿や富貴・幸福・延命などの吉祥文様を好んで装うことが多いですね。

2024年1月のコーディネートには、新年に相応しい華やかな訪問着に重厚な袋帯を合わせました。

棕櫚の中に刺繍の菊紋様

小袖雛形本『御ひいなかた』でも見られる寛文小袖模様の着物は、実は大きな棕櫚(しゅろ)の柄がメインとなります。こちらの訪問着でも棕櫚の葉の中に刺繍の菊文様があります。

贅沢にたっぷりとした金駒刺繍で囲まれた内側に笠松や宝尽くしなど縁起の良い意匠が込められ、また摺り疋田(すりびった)の表現も実に細緻になされています。

刺繍の手もとても良く、寸分の乱れもないことを間近に確認するほどに、どれだけの時間をかけて刺繍を施してくださったのか……と感嘆。

棕櫚には祝賀や勝利という意味があり、菊花は中国の故事にちなんで、古くから延命長寿のおめでたい文様として使用されています。

新年の装いとしては、重ね衿をつけて装われてはいかがでしょうか

白地もしくは生成の重ね衿をつけることで背筋が伸びるような心地となりますし、顔周りもさらに華やかになるため、私自身とても好きなフォーマルアレンジです。

深みのあるネイビーから大きく濃淡の変化をつけた白グレーまでのぼかしの地色が実に美しく、余白の美も感じられる一枚。

あらたまったタイミングにはぜひ、このくらい大きな柄にも挑戦してみてください。

富貴な唐織の袋帯を合わせて

今回合わせたのは、松竹梅の唐織の袋帯。富貴な絹糸使いによって、装い全体が一層絢爛豪華なムードとなります。

例年、花街の始業式は1月初旬に行われますが、引きずりの黒紋付を着用しない芸妓さんはこういった組み合わせで出席します。私はまだ引きずりで出席する年齢で引退しておりますので、豪華な訪問着に豪華な袋帯をあわせた装いが憧れでもありました。

2024.01.15

よみもの

令和5年売花奨励賞1等賞! 祇園甲部・柚子葉さん 「令和の芸舞妓図鑑」vol.5

松竹梅の唐織

かなりのボリュームがある今回の袋帯ですが、色数自体は少ないので、セレクトした訪問着にもバランス良く合わせることができます。

唐織の最大の特徴は、刺繍のようにも見えるその立体感。高級感を醸し出しますね。

フォーマルな小物合わせ

帯締めには、白と苔色のぼかし亀甲組を選びました。

このくらいの重厚な組み合わせには、帯締めは平組で金の入ったものが良いと思います。

帯揚げには、着物と帯を邪魔しない白地の唐織のものを。葵の地模様が光の加減で浮き沈みします。

華やかなシーンを装いで盛り立てて

新年のお集まり、初釜、観劇などなど、1月は晴れやかに装いシーンも多いことでしょう。

華やかな雰囲気の場所には、そのムードを一層高める装いで臨むのも素敵なこと。ご自身のためにも、周りの方々のためにも……

どんな瞬間も、心に残る特別な思い出となりますように。

今井茜さん

静物撮影/スタジオヒサフジ
着姿撮影/TADEAI 久野藍

ITEM

記事に登場するアイテム

帯:【紫玄】唐織袋帯「彩松菱梅文」

帯締め:【衿秀】特選帯締め 貝の口亀甲「2色ボカシ(水色×鶯色)」

帯揚げ:【渡敬】 唐織紋意匠帯揚げ「 葵唐草 白」

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