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『京きなな』大将・大本勝司さん(前編)【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.9

『京きなな』大将・大本勝司さん(前編)【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.9

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紗月さんが芸舞妓時代に通った祇園のきなこアイス専門店『京きなな』を訪問。大将の大本勝司さんにお話を伺いながら、お店の名物「できたてきなな」をいただきます!思い出の味に浸る紗月さんのオフショットもご覧ください。

まなぶ

「紗月がみつけた!和の新風」

思い出のきなこアイスに舌鼓

青春時代を送った祇園に降り立ったMCの紗月さん

青春時代を送った祇園に降り立ったMCの紗月さん

世界中の人々から愛される和の文化が集結する京都。そこには伝統を守りつつ、新しい風を吹かすべく挑戦し続けている方々がいます。

「紗月がみつけた!和の新風」は伝統文化の新たな担い手たちにその活動内容や決意をうかがうYouTube連動企画

祇園甲部の元人気芸妓・紗月さんがMCを務めます。

今回、紗月さんが訪れるのは祇園。京都五花街のひとつで、なんといっても紗月さんが芸舞妓として10年間過ごした場所でもあります。

連載第5弾は、きなこアイス専門店『京きなな』に訪問

引退から約2年ー

思い出がたくさん詰まった街。またさらに、とりわけ馴染み深いきなこアイス専門店『京きなな』に取材で戻ってまいりました!

その模様をお伝えする前に、まずは紗月さんの衣装をご紹介します。

古都の風情に際立つ明るい黄色の市松ぼかし。大きく全体に染められて、ゆったりとしたリズムを奏でます。

それをキャンバスとして遊ぶように浮かびあがる葵柄は、まさに花街好みのはんなりとした佇まい。紗月さんにとてもよくお似合いです。

紗月さんご本人が選んだ帯はキリリと黒色地の袋帯。日本手刺繍によってあらわされた高砂模様が総柄の小紋を格上げする趣味高いセレクトは、さすがのもの。帯締めの柿色、輪出しの帯揚げの赤が効いています。

お裾まわしの柿色が、柄ゆきや帯締めとリンク。石畳みを進む足運びの度にチラリ、チラリと顔をのぞかせます。

裾まわし

健康のために食べていた“きなこヨーグルト”がヒントに?

久しぶりの対面で笑顔が溢れる取材となりました

祇園・花見小路から一本西に入った路地にお店を構える『京きなな』

憧れの舞妓さんになるため、わずか15歳で親元を離れた紗月さんが「お父さんのような存在だった」として慕うのが、大将の大本勝司さんです。

『京きなな』の大将・大本勝司さん

お店自体には”仕込みさん”時代から通っていた紗月さんですが、大本さんにあらたまって形でお話を伺うのは今回が初めて。感慨深くうれしいような、ちょっと恥ずかしいような……

いつもとは異なる緊張感のなか、取材がスタートしました。

まずは大本さんが「きなこアイス専門店」を開こうと思ったきっかけについてお聞きします。

紗月さんもきなこアイス専門店を出すきっかけは知らなかったそう

もともとは北野天満宮の近くで飲食店をやっていた大本さん。祇園で居酒屋をやろうと一念発起し、新橋の方に物件を借りるも、あとからガスが使えないなどの問題が出てきたといいます。

「じゃあ、何ができるか」と考えたときに浮かんだのが、きなこアイスでした。

『京きなな』の味を自宅で楽しめるカップアイスも販売されています

自宅で楽しめるカップアイスも販売

大本さんは幼少期からお祖母さんが出してくれる、きなこと砂糖をまぶした冷やご飯を食べて育ったそう。

きなこはたくさん食べても嫌いになることはなく、ずっと好きな食べ物。大人になってからも、健康のためにきなこをかけたヨーグルトを日常的に食べていたことも、きなこアイス専門店を開くきっかけに繋がりました。

お店の柱には紗月さんの名前が記載されたステッカーも

お店の柱には紗月さん現役時代の千社札が残っています!

「祇園でアイスといえば、京きななさん」と語る紗月さん。

仕込み時代からお店に通っており、年次を重ねてからは後輩の舞妓さんたちをよく連れていってあげていたそう。

「あたかも奢るみたいな顔をして、みんな好きなもん食べ〜って言ってました(笑)」

と紗月さんは当時を振り返ります。『京きなな』は紗月さんが所属する置屋『つる居』の女将さんの紹介でお客さんが増えたこともあり、紗月さんをはじめ所属していた舞妓さんたちには無料でアイスが振舞われていたのです。

その分、紗月さんたちも観光で訪れたお客さんたちに快く対応するなど、大本さんとは義理と人情で結ばれた良い関係を築いていました。

紗月さんがお店に通っていた当時について語る大本さん

「お客さんも生で舞妓さんを見れて喜んではったからね」と大本さん。

芸舞妓さんたちがアイスやパフェを食べている姿に驚くお客さんたちもいたそう。

『京きなな』は、稽古帰りのスタイルで立ち寄ることもある芸舞妓さんたちの日常が垣間見える場所でもあるのです。

リニューアル後は、全体的に落ち着いた大人な雰囲気の内装に

最近お店がリニューアルされ、内装も、紗月さんが通っていた頃とはかなり変化したそう。

大本さんは「僕も54歳やし、昔みたいにがむしゃらに働くのが楽しい子も少なくなってきたから、ゆっくりやらしてもらおうかと思って」と語ります。

照明を落とした店内は、しっとりと落ち着いた雰囲気に。甘味だけではなく、お昼から呑めるようにお酒もメニューに加えました。現在はワインや日本酒などもお店でいただくことができます。

お店にはFREE Wi-Fiも完備されており、ゆっくり甘味とお酒のマリアージュも楽しめる

甘味とお酒のマリアージュも楽しめる

”できたて”ならではの風味と口どけが楽しめるアイス

工房で常に出来立てのアイスを作り続けている大本さん

『京きなな』の看板メニューといえば、やはり「できたてきなな」

丹波の黒豆と、福井と鳥取から取り寄せた『たまほまれ』という丸大豆の2種類を使ったアイスです。黒豆は味用で浅めの焙煎に、たまほまれは香り用で焦がす程度に強く焙煎し、それらをブレンドして使っています。

『京きなな』できたてきななドリンクセット

『京きなな』できたてきななドリンクセット

着色料や保存料を一切使わず、脂肪分も抑えて製造していることへの安心感もさることながら、他のきなこアイスと違うのは何といっても”できたて”であるということ。

「できたてのアイスが一番美味しい」と語る大本さん。工房をお店に併設し、できたてならではの風味と口どけが楽しめるアイスを提供し続けてきました。

ひと口食べれば香ばしいきなこの香りが鼻を突き抜け、なめらかな口どけと上品な甘さが広がる絶品アイスです。

見た目も当時と変わらず、紗月さんも嬉しそうな表情

現役当時と変わない「できたてきなな」に、紗月さんもうれしそうな表情

そんなこだわりがたっぷり詰まった大本さんの「できたてきなな」を早速いただくことに!紗月さんも久しぶりに食べれることにワクワクが隠せません。

アイスをスプーンで一口
「これこれ!」と思い出の味に浸る

スプーンでパクッと食べると、口の中でじーんと味を噛みしめる紗月さん。

これですこれ!あのころ私たちは『もうアイスやなくて飲み物や』って言ってました。いくらでもいける!」

写真からもトロッとした滑らかな口どけが伝わってきます

写真からもトロッとした滑らかな口どけが伝わってきます

当時は食べ盛りなことに加え、稽古で体力を消耗しているため、一日に2度訪れたことも。

特に紗月さんが好きだったのは、3種類のアイスを使った和パフェ「きななハポン」。今でもお客さんたちから大人気のメニューです。

紗月さんが初めてお店を訪れたのは15歳。仕込みさんとして修行していたころに、置屋の女将さんに連れていってもらったそうです。

「舞妓さんたちは大人の世界に入ってしまっているけど、年齢は中高生やもんな」と語る大本さん

大本さんの記憶にも、当時の紗月さんは今でも残っているそう。置屋の鍵を忘れて、誰かに開けてもらえるまでお店で待機していたり、お店のテーブルで事務作業をしていたり

「ちゃんとした勉強机が置屋さんにはないので、ここを使わせてもらうことがよくありました」と紗月さんはあの頃を振り返ります。

紗月さんは大本さんが驚いてくれるのが楽しみだったそう

厳しい稽古を毎日こなす芸舞妓さんたちをいつも優しく見守ってくれた大本さん。

挨拶のためにスタッフルームを開けると、「わ〜びっくりした!」と驚く大本さんの姿が紗月さんは楽しみだったといいます。

後編ではそんな大本さんに引き続きお話を伺いながら、アイス以外の絶品スイーツもいただきます。

京都への旅行を予定されている方も必見。どうぞお楽しみに!

『京きなな』の絶品スイーツをいただく紗月さん

紗月さんファン必見!オフショット

『京きなな』がある路地で撮影がスタート!

『京きなな』がある路地で撮影がスタート!

芸の道を始めた祇園に降り立ち、紗月さんの身も引き締まります

芸の道を始めた祇園に降り立ち、紗月さんの身も引き締まります

見事な手刺繍の技が光る京繍いの帯

見事な手刺繍の技が光る京繍いの帯

大将の大本さんと再会し、思い出話に花を咲かせる紗月さん

大将の大本さんと再会し、思い出話に花を咲かせる紗月さん

自身の名前が記載されたステッカーも発見しました!

現役時代の千社札を発見!

いつも紗月さんの心を和ませてくれた大将の大らかな笑顔

いつも紗月さんの心を和ませてくれた大将の大らかな笑顔

少し緊張していた紗月さんもきなこアイスを前にすると、途端にこの表情!

少し緊張していた紗月さんも、きなこアイスを前にすると、途端にこの表情!

アイスは変わらぬ味で、紗月さんも大喜びでした

変わらぬお味の「できたてきなな」に、紗月さんも大喜び

次回も引き続き大本さんにお話を伺います!

次回も引き続き大本さんにお話を伺います!

文章/苫とり子
撮影/弥武江利子

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