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春画ールさんに聞く!春画の魅力 『春の画 SHUNGA』 「きもの de シネマ」番外編

春画ールさんに聞く!春画の魅力 『春の画 SHUNGA』 「きもの de シネマ」番外編

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銀幕に登場する数々のキモノたちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だってキモノで愉しみませんか。今回は、現在公開中のドキュメンタリー映画『春の画 SHUNGA』に出演中の春画-ルさんが登場です。

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2023.12.11

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春画の面白さを発信する伝道者

ごきげんよう、椿屋です。

久しぶりの番外編は、春画入門編としても注目を集める『春の画 SHUNGA』に出演されている春画ールさんへの独占インタビューの様子をお届けします。

2023.11.24

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いざ!可笑しくも愛おしい春画ワールドへ『春の画 SHUNGA』 「きもの de シネマ」vol.38

©2023『春の画 SHUNGA』製作委員会「春情肉婦寿満」歌川国貞・画(春画-ル)

©2023『春の画 SHUNGA』製作委員会「春情肉婦寿満」歌川国貞・画(春画-ル)

「春画って、これまで研究者による学術的かつ文化的な知的価値で語られることが多く、高尚なものってイメージが強いと思うんですが、映画『春の画 SHUNGA』はアーティストや作家、職人などいろんな立場の人のエピソードで構成されていて、とてもインスパイアされました。

中でも、横尾忠則さんの春画にまつわるお義母さまとのエピソードが印象的でした」

©2023『春の画 SHUNGA』製作委員会

©2023『春の画 SHUNGA』製作委員会

「私は愛好家の代表者のひとり。家でひっそりと愛でる人が多くて、春画を語る人がなかなかいないんですよね。だから、一般人として春画の面白さを伝える立場としてオファーをもらって光栄でした。面白がり方というか、見方や切り口の提案ができる機会をいただけてありがたかったですね。

今回の映画は、入門者におすすめですが、上級者も愉しめる作品になっています。残っている文化から春画を探っていく点が、とても興味深い。春画の見方のひとつとして、観た人が『こういうふうに愉しんではるんか~』って思ってくれたら、うれしいです

2023.11.24

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いざ!可笑しくも愛おしい春画ワールドへ『春の画 SHUNGA』 「きもの de シネマ」vol.38

着物にも通ずる春画の“沼”

現代の少女漫画しか読んだことのなかった10代の頃に、葛飾北斎『喜能会之故真通』に掲載されている海女と蛸の春画に出合った春画ールさん。バズり記事を見て、何の気なしに目にした一枚に心を射抜かれます。

その後、「会社とは違うコミュニティをつくりたい」という想いから”春画ール”としての活動を開始。

手に取って作品を見ると、細かい技巧に驚かされます。緞子の織り目の表現だったり、細かい刺繍の描き方だったり。春画は、五感で愉しんでこそ

歌川国貞/春画-ル所蔵

歌川国貞/春画-ル所蔵
男の上着は大名縞、女の帯は稲妻取り斜段模様・唐草立桶文(金摺り)・龍・波濤(銀摺り)。上着の紋所は雀・間着は霞小紋と折形づくし(一部金と銀摺り)、半襟は鱗つなぎ(銀摺り)

彼女が初めて春画を買ったのは、25歳のとき。それをきっかけに、会社勤めをしながら100点以上もの春画をコレクションするようになります。

「写真や図版ではなく、実際の春画は手触りや匂いを感じられるのがいい。例えば、生地の質感や柄なども近くでじっくり見ているといろんな気づきが得られます。

着こなし具合だけでも町の女将さんなのかな、いい家のお嬢さんなんだろうな、とか。着物は社会的地位を表すアイテムだったので、そこに描かれている人物の背景も透けて見えてきます」

渓斎英泉「春の花取合セ」/春画-ル所蔵

渓斎英泉「春の花取合セ」/春画-ル所蔵
若衆の上着は縞。娘の帯は毘沙門亀甲つなぎ(金と銀摺り)、紋所は三ツ盛七宝(一部銀摺り)、振袖は八重梅と氷裂(金と銀摺り)、裾ふきには金摺りを使用。間着は菊か

「イベントに合わせたコーディネートを愉しむ現代の着物ファンと同様に、團十郎の贔屓だから瓢箪柄を好むんだろうとか、きっと源氏が好きなんだろうとか、想像するのも面白い。

着物好きが集ってもフェチはそれぞれですよね?春画も同じで、着崩している風情に艶っぽさを感じたり、色っぽさの象徴として女性の脛に注目したり」

2023.10.13

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無修正で描く春画への偏愛コメディ『春画先生』 「きもの de シネマ」vol.34

春画の愉しみ方に決まりなんてない!

「浮世絵が世界的に評価されているように、春画も性的表現よりはアート性や美術的価値を強調されがちですが、クレイジーな表現もたくさんあって、私はそれが大好き。自分とは合わない価値観と向き合うのも愉しいんです」と、春画ールさん。

春画の中には、男性作家が思う“理想の女性”が描かれていて、その姿は大らかで愛おしく、「こうであるべき」という視点で見るのは違うのではないか、と彼女は言います。

渓斎英泉「梅好閨の春風 此糸 半次郎」/春画―ル所蔵

渓斎英泉「梅好閨の春風 此糸 半次郎」/春画―ル所蔵
半次郎の帯は三筋縞(一部金摺)、上着は小菊小紋。此糸の上着は紅葉と観世水(一部金と銀摺)、間着の胴は撫子と宝相華

「男色の風俗があるなかでの表現も興味深くて、江戸時代ならではの魅力が詰まっているけれど、現代との共通点もあって、シンパシーを感じる作品も少なくありません。

自分の経験を通して積み重ねてきた価値観と、自分ならではの目線で春画を愉しんでもらえたら。アートとして受け止めるだけでなく、豊かに鑑賞してほしいですね」

もっと自由に、もっと朗らかに。春画を愉しむことで、その魅力を知っていく——

春画ールさんの存在が、春画の世界への扉を開くきっかけになる人も、きっと少なくないはず。

©於玉杓子「白縫物語」より男色図/春画―ル所蔵

©於玉杓子「白縫物語」より男色図/春画―ル所蔵
宗連(上)の帯は桜花入り亀甲繋ぎ、胴着の額は宝相華文唐草、胴着の胴は紗綾形。春之助(下)の帯は麻の葉鹿子、振袖は笹蔓文、間着は紗綾形

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