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特別展『やまと絵 -受け継がれる王朝の美-』東京国立博物館 「きものでミュージアム」vol.27

特別展『やまと絵 -受け継がれる王朝の美-』東京国立博物館 「きものでミュージアム」vol.27

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東京国立博物館 平成館で開催中の特別展『やまと絵 -受け継がれる王朝の美-』へ。やまと絵245件が集結し、うち7割超が国宝、重要文化財。”日本美術の教科書”ともいえるラインナップです!恒例の招待券プレゼントもお見逃しなく。

2023.10.05

よみもの

『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』 国立新美術館 「きものでミュージアム」vol.26

やまと絵のオールスターが集結!

今回は、東京国立博物館 平成館で開催中の特別展『やまと絵 -受け継がれる王朝の美-』をご紹介します。

※本コラム内の美術作品の写真につきまして、各美術館プレスより撮影および掲載の許諾を得て使用しております。

東京国立博物館 平成館前

東京国立博物館 平成館前

本展は、1993年以来30年ぶりとなる「やまと絵」が主題の展覧会。総件数245件のうち、7割超が国宝、重要文化財と驚くばかりのラインナップです。

平成館入口の階段

日ごろ美術にあまり縁のない方も、教科書や書籍などで目にしたことがある作品が多く並びます。

最初に展示室を一巡した後、展示作品があまりにもすばらしいので「これ全部、本当に本物?!」と思わず目を丸くしてしまいました。

安心してください、すべて本物です!

そもそも「やまと絵」とは

エントランス風景

奈良時代まで、日本では主に中国の「唐絵」が鑑賞されていました。日本の日常や風景を描く「やまと絵」が生まれたのは、平安時代前期

鎌倉時代後期以降になると中国からの水墨画などがもたらされ、これらは「漢画」と呼ばれるように。「漢画」に対し、旧来の伝統的な様式に基づく絵画を「やまと絵」と呼ぶようになりました。

今回は「やまと絵」の中でも、平安~室町時代までに限定した作品が展示されています。

《山水屛風》

国宝《山水屏風》 鎌倉時代・13世紀・京都・神護寺 展示期間①② 

会場の冒頭近くに、現存する最古のやまと絵屏風の《山水屏風》(京都・神護寺蔵)と唐絵屏風の《山水屏風》(京都国立博物館蔵) (いずれも国宝)があります。

やまと絵は日本の人物や風景を描き、唐絵は中国の人物や風景を描きます。作例として比較してみると、それぞれの特徴がつかめるでしょう。

国宝《山水屛風》

国宝《山水屏風》 平安時代・11世紀 京都国立博物館 展示期間①② 撮影:akemi

工芸や書跡も

やまと絵が確立すると、そこで磨かれた感性は絵画のみならず、工芸品や書跡にも影響していきます。

国宝 《古今和歌集序》

国宝《古今和歌集序(巻子本)》 藤原定実筆 平安時代・12世紀 東京・大倉集古館 展示期間① ※現在は展示が終了しています。

国宝 《古今和歌集序(巻子本)》(東京・大倉集古館蔵)の特徴は、料紙が色変わりで継がれていること。舶載(舟で外国から運ばれてきたもの)で、様々な文様が摺りだされています。

筆者は、藤原定実と推測されています。

国宝《 片輪車蒔絵螺鈿手箱》(東京国立博物館蔵)は、蒔絵に厚い夜行貝の螺鈿を併用し美しく輝きます。

国宝《 片輪車蒔絵螺鈿手箱》

国宝《 片輪車蒔絵螺鈿手箱》 平安時代・12世紀・東京国立博物館 展示期間①②

流水から牛車の車輪が半分出ている「片輪車」は、古典柄の着物が好きな方にはおなじみの文様ですね。

内側は金銀研出蒔絵で、蝶鳥や草花の折枝文が描かれています。

国宝《蒔絵箏》は奈良・春日大社に古神宝として伝わった楽器です。

国宝 《蒔絵箏》

国宝 《蒔絵箏(本宮御料古神宝類のうち)》 平安時代・12世紀 奈良・春日大社 展示期間 ①②

細長い形を龍に見立て、蒔絵で山水図が描かれています。

《鳥獣戯画》に《佐竹本三十六歌仙絵》

何と言っても人気がある絵巻は、四大絵巻のひとつ国宝《鳥獣戯画》でしょう。

《鳥獣戯画》を観る

擬人化されたうさぎにさる、かえる、それ以外にも想像上の生き物や人間も登場します。のびやかなタッチとユニークな表情や仕草を観るとなごみます。

作者不明、制作背景や主題も不明……と謎の多い作品でもあります。

国宝 《鳥獣戯画》

国宝《鳥獣戯画 甲巻》 平安~鎌倉時代・12~13世紀 京都・高山寺 展示期間:① 甲巻 ②乙巻 ③丙巻 ④丁巻 ※写真の甲巻は展示が終了しています。

《鳥獣戯画》は4期に1巻ずつ展示。すべて観るためには4回行かなければなりませんね!

重要文化財《佐竹本三十六歌仙絵・小大君》

重要文化財《佐竹本三十六歌仙絵小大君》鎌倉時代・13世紀 奈良・大和文華館 展示期間①②

重要文化財《佐竹本三十六歌仙絵》は京都・下鴨神社に伝来し、後に秋田の佐竹家に伝わったことから「佐竹本」と呼ばれます。

1919年に歌人それぞれに切断され、一歌仙ごとの掛軸装となりました。今回は合わせて6幅が展示されます。

詠草「泊瀬山」

詠草「泊瀬山」 藤原定家筆 鎌倉時代・13世紀 京都・陽明文庫 展示期間①②

詠草「泊瀬山」は、藤原定家が自詠の和歌を揮毫したもの

大きく描かれた「や」と左側の余白が印象的です。また、表装に枝にとまる鳥が描かれており、思わず笑顔に。

大人気の《百鬼夜行絵巻》!

展示風景

第2会場のようす

重要文化財《百鬼夜行絵巻》(京都・真珠庵蔵)には、器物の変化、鬼などさまざまな妖怪の姿が描かれています。江戸時代を含めると60件以上同類の絵巻があり、当時流行していたことがわかります。

重要文化財 《百鬼夜行絵巻》

重要文化財《百鬼夜行絵巻》 伝土佐光信筆 室町時代・16世紀 京都・真珠庵 展示期間①②/③④

こちらの真珠庵本は、現存最古の百鬼夜行絵巻。ユニークな妖怪たちの姿と表情を観ていると思わず頬が緩んできます。

そして、金色に輝く《源氏物語図扇面貼交屏風》がひときわ目を惹きます。

《源氏物語図扇面貼交屛風》

《源氏物語図扇面貼交屏風》 室町時代・16世紀 広島・浄土寺 展示期間①②

『源氏物語』の各場面を扇面に描き、2隻の屏風に60面の扇が並びます。

物語の順番に並ぶのではなく、各場面の季節によって右隻から春夏秋冬と並びます。各扇も天地は金雲で覆われ、扇を貼る土台も薄く金泥をはき、とってもきらびやか。

重要文化財 《浜松図屛風》

重要文化財《浜松図屏風》室町時代・15~16世紀 東京国立博物館

重要文化財《浜松図屏風》(東京国立博物館蔵)やまと絵の象徴的作品です。のびやかに木が描かれ、カラフルな鳥が飛び交います。

さまざまな花々も咲き乱れ、画面全体で右から春夏秋冬と季節が描かれています。中央の浜辺に人間の姿も見えますが、後景の花や鳥に比べて小さく描かれています。

重要文化財 《禅宗祖師図(旧大仙院方丈障壁画)》

重要文化財 《禅宗祖師図(旧大仙院方丈障壁画)》 狩野元信筆 室町時代・16世紀 東京国立博物館 展示期間①②/③④

重要文化財 《月次風俗図屛風》

重要文化財 《月次風俗図屏風》室町時代・16世紀 東京国立博物館 展示期間①②

全4期の展示替え、みどころ

やまと絵展は、8週間の会期で2週間ずつ、展示替えがあります。

第1期 10月11日(水)~10月22日(日)
第2期 10月24日(火)~11月5日(日)
第3期 11月7日(火)~11月19日(日)
第4期 11月21日(火)~12月3日(日)

※通期展示の作品もあります。

(第1期は終了後となりますが…)ここで、それぞれの期間のみどころをご紹介します!

第1期

四大絵巻。平安時代末に制作された絵巻の中でも最高傑作と言われる絵巻4件が30年ぶりに東博に集結。《源氏物語絵巻》《信貴山縁起絵巻》《伴大納言絵巻》《鳥獣戯画》(すべて国宝)4件が揃うのは開幕から2週間のみ(※展示替え、巻替えはあり)。《鳥獣戯画》は4巻(甲・乙・丙・丁)が1巻ずつ展示。

第2期

神護寺三像。神護寺に伝わる、肖像画《伝源頼朝像》《伝平重盛像》《伝藤原光能像》(すべて国宝)の三像が一堂に。いずれも横幅1メートル超とほぼ等身大!!

第3期、第4期

三大装飾経。最も美しいと評される《久能寺経》《平家納経》《慈光寺経》(すべて国宝)が、展覧会後期(第3期、第4期)に揃います!

やまと絵展

いずれの期間も超豪華な逸品ぞろいで、全期コンプリートしたくなりますね!お目当てがある方は、作品の展示期間をチェックしてお見逃しなく!

最後に

今回の展示のすばらしさは言うまでもありません。加えて、出品目録の所蔵先を見ますと、国立の博物館を除くとあそこの美術館から1点、そちらの寺社から1点、といった具合に、それぞれとっておきのお宝をこの展覧会に出品していることに気付きます。

扇の展示風景

左:国宝 《彩絵檜扇(阿須賀神社伝来古神宝類のうち)》南北朝時代・14世紀 京都国立博物館、右:重要文化財 《彩絵檜扇 伊号(古神宝類のうち)》 室町時代・15世紀 愛知・熱田神宮

本展を担当した東京国立博物館の土屋研究員は、

夢のような展覧会

とおっしゃっていました。これほどの作品が集結するのは空前絶後のことかもしれません。

どの期に行ってもすばらしい展示をご覧いただけるはずです。この機会を逃さないよう、芸術の秋、ぜひ東博にお出かけください。

この日の装い

この日の装い1

この日のコーディネートは、鳥獣戯画の帯を主役に、着物は帯を引き立てるよう淡い色の江戸小紋、徳川家の留柄である御召十です。

この日の装い長襦袢
この日の装いお太鼓

長襦袢も鳥獣戯画柄、帯締めは道明の高麗組、帯揚げはゑり萬の輪出しです。根付はやまと(奈良)つながりで鹿。鳥獣戯画にも鹿がいますしね。

★この日の装い 帯回り

2023.09.19

まなぶ

有職組紐 道明(東京都台東区上野・組紐)「バイヤー野瀬の、きもの産地巡り」vol.6

2023.06.24

よみもの

道明が切り拓く日本の美の未来形 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.16

撮影/五十川満

今回ご紹介の展覧会情報

特別展「やまと絵-受け継がれる王朝の美-」

特別展「やまと絵 -受け継がれる王朝の美-」 

東京国立博物館 平成館(上野公園)
https://yamatoe2023.jp/

日 時:10月11日(水)~12月3日(日)※会期中、一部作品の展示替えおよび巻替えあり
    9時30分~17時00分※金曜・土曜は20時00分まで開館 ※最終入場は閉館の60分前まで
   (総合文化展は17時00分閉館、ただし11月3日(金・祝)より、金曜・土曜は19時00分閉館)

休館日:月曜日(ただし本展のみ11月27日(月)は開館)

※本展は土・日・祝日のみ事前予約制(日時指定)です。平日は事前予約不要です。

※詳細は展覧会公式サイトをご覧ください。

その他、おすすめの美術展

※日時など変更になる場合があります。おでかけ前に公式サイトなどで最新情報を確認してください。

「大正の夢 秘密の銘仙ものがたり」展

「大正の夢 秘密の銘仙ものがたり」展

会 場:弥生美術館(東京都文京区弥生2-4-3)
https://www.yayoi-yumeji-museum.jp/

日 時:2023年9月30日(土)〜12月24日(日)
    午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

休館日:月曜日、11月14日

※次回の『きものでミュージアム』で詳しくご紹介します。

生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ

「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」

会 場:東京国立近代美術館1F企画展ギャラリー(東京都千代田区北の丸公園3-1)
https://www.munakata-shiko2023.jp/

会 期:2023年10月6日(金)〜12月3日(日)
10:00〜17:00(金曜・土曜は10:00〜20:00)※入館は閉館の30分前まで
※会期中、一部作品に展示替えがあります。

前期:10月6日(金)~11月12日(日) 
後期:11月14日(火)~12月3日(日)

休館日:月曜日

コスチュームジュエリー 美の変革者たち

コスチュームジュエリー 美の変革者たち

パナソニック汐留美術館
https://panasonic.co.jp/ew/museum/

日 時:2023年10月7日(土)〜12月17日(日) 
    午前10時~午後6時(ご入館は30分前まで)
※11月10日(金)、12月1日(金)、12月15日(金)、16日(土)は夜間開館 午後8時まで開館(ご入館は午後7時30分まで)

休館日:水曜日(ただし12月13日は開館)

◆ 読者プレゼント ◆

特別展「やまと絵-受け継がれる王朝の美-」

さて、恒例の招待券プレゼント!
今回は、特別展『やまと絵 -受け継がれる王朝の美-』東京国立博物館の招待券を5組10名の方にプレゼント!
ぜひ、きものでお出かけくださいね!

下記リンクより、お使いのSNS経由にてご応募くださいませ。

◆インスタグラム
https://www.instagram.com/kimonoichiba/?hl=ja
◆Twitter
https://twitter.com/Kimono_ichiba

※応募期間:2023年11月5日(日)まで

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