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【Q10】着物にも洋服にも合うコートが欲しい！「いまさんの着物お悩み相談室」

【Q10】着物にも洋服にも合うコートが欲しい！「いまさんの着物お悩み相談室」

2023.10.18 （2023.10.19 更新）

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エッセイスト・イラストレーターきくちいまさんによる人気連載、”着物お悩み相談室”。Instagramにて実際にいただいたお悩みより… 今回は、たくさんの方から寄せられた”和洋兼用”コートについて。

まず、きもの専用のコートについてですが、以前はきもの用のコートというと、どこか昭和の香りが漂うイメージがありました。衿が四角い道行コートがなんとなく真面目な印象しかなくて、楽しさに欠けているように思えて、当時はあまり好きではなかったんですね。

その頃お気に入りのAラインのコートを持っていまして、これをきものに合わせたいと思い、実際に着てみたのですが、一番の問題は袖です。

洋装用のコートには、きものの袖が入らない。腕にきものの袖を巻き付けてコートを着てみましたが、袖は通ったものの、肘の動きが制限されて、まるでロボットのようになってしまいました。シルエットもなんだか残念な感じ。

洋服のコートをそのままきもの用にするのは、どうしても袖の問題があるので難しいというのが現実です。

量産品のダウンジャケットを2着買って、きもの用のダウンコートを作ってみた友人がいます。

「ものすごく暖かい」と教えてくれましたが、袖部分にはさみを入れて切り離したときに、部屋中が羽毛だらけになって難儀したとのことです。家にミシンがあって、洋裁と和裁の知識を兼ね備えた猛者にしか作れないコートではありますが、極寒の地に住んでいるなら試してみる価値あり？

とはいえ、大雪の中を延々と歩くような場所でなければ、昨今の暖房事情ですと建物の中や電車の中は暖かいですし、ちょっとおでかけ程度なら、そこまで重装備にしなくともいいのかもしれません。

洋装用として売られているものでも、マントやポンチョなら、きものの袖に関係なく着ることができますし、案外お手頃なものもあるようですよ。生地の種類や色柄は関係なく、好みかどうか、で選んでいいと思います。

きものにも洋装にも着られるかどうかは、袖をどう納めるか。あとは実際に着たときのシルエットがどうか、です。

衿の抜きをどうするかも大事なポイント。

洋装用ですと衿の抜きは考えられていませんので、衿は上から覆われると思ってください。寒い時期はコートの上からマフラーやショールを巻くことも多いでしょうから、そこは気にしない、と割り切るのもアリです。

以前雑貨屋さんで、アクリル毛糸でざっくりとかぎ針で編んだポンチョを買ったことがあります。お値段は数千円とチープでしたが、すぽっと被るだけでよく、見た目も暖かそう。和洋MIXな感じがとてもよく、今も重宝していますが、被るタイプなので髪型を気にするときには不向きです。

好きで着ていたけれど、年齢とともに着なくなった紬や小紋、お召などから、コートに作り替えるというのもおすすめですが、厳冬期にはモコモコした素材の重みのあるコートもいいですよね。

わたしは去年、ネットで素敵な和装コートを買いました。和装にも洋装にもできる、袖が関係ないデザインです。こういうものがもっとどんどん世に出てくれるといいのにな。

いつかわたしが考えた素敵なコートをネットに出せる日が来たら、ぜひポチっとしてください！

ほぼ一年中を着物で過ごし、着物ライフの楽しさをイラストとエッセイでつづる。執筆の他、着物や帯などのプロデュースも手がけ「着物は人生に寄り添うもの。おしゃれで楽しくて、お守りのような存在の布になれたらと願い、ものづくりをしています」と語る。著書に「大人かわいい着物読本」(主婦と生活社)、「おとなのときめきふだん着物」(河出書房新社)、「買ってはいけない着物と着物まわり」(実業之日本社)などがあり、最新刊は「東京着物さんぽ」(GB)。山形県在住で、子3人犬1匹の母でもある。