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羽織で着物をもっと楽しむ 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.6

羽織で着物をもっと楽しむ 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.6

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羽織をお召しになったこと、ありますか?私は羽織が大好きです。いつも着ているものでも、羽織があるだけで、また別の表情が生まれるから、不思議です。

2023.09.07

よみもの

着物が楽しい季節の到来 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.5

紅葉が赤くなったら羽織の季節

大久保先生02

羽織をお召しになったこと、ありますか? 

私は羽織が大好きです。いつも着ているものでも、羽織があるだけでまた別の表情が生まれるから、不思議です。

今回は羽織の楽しみ方をお話します。羽織の魅力が伝わるとうれしいです。

羽織と道行の違い

一番の違いは、羽織は室内で着ていても大丈夫。いわばカーディガンみたいなもの、と思ってください。

それに対し、道行はその名の通り、道中で着るもので、目的地に到着したら脱ぐことが前提です。室内で着ることはありません

街を歩く大久保先生

もともと羽織は男性のもので、女性は明治以降に着るようになった、ともいわれています。男性の礼装は紋付・羽織・袴ですが、女性の礼装は留袖のみで、羽織はつけません。

一方の道行は道中着の意味があり、埃よけの役目をになっています。

羽織にも種類があります

羽織

羽織にはいろいろなタイプがあります。

たとえば、無地タイプ。特に黒の羽織に家紋が入っているものは、あらたまった感じになります。

地紋がきれいな無地タイプはおしゃれ。羽織を広げると柄がつながっている絵羽織小紋地で作られたものもあります。

どんな場所に行くのか?などを考慮して、着物とコーディネートするといいと思います。

どんな場所に着ていったらいい?

ひと味違うおしゃれを楽しみましょう

昭和30年代生まれの方たちに着物の思い出を聞くと「そういえば、母が授業参観にくるときは、必ず羽織だった」とか、「ちょっとそこまで外出するときに、普段着の着物に羽織をサッと羽織って出かけていた」など、昭和中期の母親は羽織愛用者が多かったんです。

そのころは羽織に着物が定番の装いでした。

羽織を着ると着物の格が上がり、相手に失礼ではない、という考え方もありました。今は、入学式や卒業式は付け下げや色無地の方が多いですね。

羽織を楽しむなら、街歩きや食事会、観劇などはどうですか?ひと味違うおしゃれが楽しめます。

羽織には羽織紐が必需品

羽織紐

羽織には羽織紐が必要です。

羽織の共布ではじめからついているタイプのもの、組紐のもの、天然石をあしらったりトンボ玉やビーズがついているものなどがあります。

金具や紐は」と呼ばれるループ状のところに通します。

この」の位置ですが、羽織った時に帯の上線と帯留めの間にくるようにすると、バランスのよい羽織姿になります。

大久保先生、後ろ姿

私から羽織紐のちょっとした提案を。

使わなくなったチェーンのネックレスがあったら、それを「」に通して羽織紐の替りにすると、モダンなイメージになって素敵です。

カッコいいのは、長すぎない丈

通説ですが江戸時代に、辰巳芸者(深川の芸妓)が、男物の羽織をきりっと着こなし、江戸っ子の心意気を表した、といわれています。

羽織をカッコよく着こなすと小粋です。

着こなしの要素のひとつが羽織の丈

羽織の丈

羽織丈の好みもさまざま。写真は膝下丈のやや長め

いっとき、ロング丈が流行しましたが、私が一番カッコいい、と思うのは膝の後ろあたり。長い丈だと歩いていると羽織の前が開きぎみになって、だらしない感じになります。

羽織の前がすぼまって、後ろが下がる着姿がカッコいいと思います。

ゆきうさぎと尻尾

小紋のうさぎと羽織の雪輪で”雪うさぎ”。帯締めの梵天房をうさぎのしっぽに見立てて。

構成・文/大澤はつ江
人物撮影/五十川満

ITEM

記事に登場するアイテム

京染小紋地羽織「シケ引市松」

御召地羽織「大小霰」

京染小紋地羽織「疋田露芝跳ねうさぎ紋」

摺り友禅羽織「くづし疋田雪輪」

手絞り小紋着尺 「ゆきうさぎ」

【奥順】 八寸名古屋帯 「網代格子・白×青丹×黒」

摺り友禅羽織 「くづし疋田雪輪」

【京都富小路きねや】 海松紋帯揚げ 「(01)焦茶 」

【渡敬】丸唐組梵天房帯締め「ライトグレー/房:パープル」

小田巻羽織紐 「(06)モスグリーン」

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