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気候に応じた9月の帯合わせ 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.7

気候に応じた9月の帯合わせ 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.7

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京都祇園、ニューヨーク、東京と、3都市の着物スタイルを知る今井茜さん。「女性らしさ」や「上品さ」をキーワードとして、装う方の魅力を引き出すコーディネートをご提案します。

2023.08.10

まなぶ

秋の気配をまとう 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.6

『東西おどり』の華やかさ

茜さん

ようやく秋の気配が感じられるころとなりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

夏の終わりは帝国ホテルで毎年行われる『東西おどり』に行ってまいりました。

東は新橋の芸者さん方、西は祇園甲部より芸舞妓さん方が総勢40名近く、同じ舞台で色鮮やかに、大変華やかな宴でした。

披露される東西の演目の違いもおもしろく、衣装も見どころ満載。毎年欠かさず足を運んでいます。

単衣にする?袷にする?

着物や帯の色柄には、季節やシーンに合わせて選ぶ楽しみがありますね。

四季を通じて私は、「模様(文様、柄)のしきたり」に「色」を加えて季節にあったコーディネートをすることが多いです。

全体のコーディネートは、その日着て行く場所のこと、相手先のこと、自身のモチベーションや全体の雰囲気作りをストーリー仕立てで考えています。

今回選んだ付け下げは、葵柄の十日町友禅のもの。さりげなく流水文様が入っています。

寒色系ではなく、白に黄金色の友禅が単衣の時期に着用するにあたり、寒々しく見えず合わせやすいお色味です。

葵柄の小紋

二葉葵の柄は、花があれば春から初夏(梅雨前)にかけて着用しますが、幸先が良いという謂れのある吉祥文様で、実は通年着られる柄です。

季節性がなく通年着られる模様の場合、着用期間の長い袷(あわせ)仕立てにすることも多いと思います。

着物のすばらしい点のひとつに「仕立て替えができる」ということがありますね。迷ったときには単衣(ひとえ)に仕立てるのもおすすめ。単衣で着用して、また仕立て替えて袷にすれば約10ヶ月も着用できることになりますね。

「仕立て替えができる。」ということ。

9月の後半には、引き締まった色目を

今回は、2パターンの帯合わせをご提案します。

まずひとつめは、付下げと同じ十日町の染め元による辻が花の袋帯。手絞りにて創作された染めの袋帯です。

2022.11.19

まなぶ

辻が花とは?幻と称される染め物の特徴をご紹介

帯の地色が濃い紫鳶の引き締まったお色目です。

刺繍や金彩が控えめでさりげない柄ゆきの付け下げの場合、私はよく染め帯を着用します。

帯の地色が、茶味も感じられる濃い紫鳶(むらさきとび:暗く灰がかった赤紫色)で、9月の後半に着用するのにぴったりな引き締まったお色目ではないでしょうか。

9月の暑い日には、少し落ち着いた色目で

もうひとつの帯は、大好きな市松柄の名古屋帯。流行に左右されない柄に、お色はアースカラーでまとまっていて大変使いやすそうです。さりげない金銀にも見えますね。

カジュアルなコーディネートにも活躍しますし、付け下げのように少しフォーマル感のある着物にも合わせられる万能選手です。

9月のまだまだ暑い日には、こういった、少し落ち着いたお色味の帯を合わせるのもいかがでしょう。

アースカラーの帯

小物のとりあわせ

帯に合わせて帯締め、帯揚げを変えています。絞りの染め帯には道明さんの高麗組、市松の西陣帯にはきねやさんの冠組を合わせました。

全体で見てみますと、差し色の朱色に秋の訪れを感じられます

2023.09.19

まなぶ

有職組紐 道明(東京都台東区上野・組紐)「バイヤー野瀬の、きもの産地巡り」vol.6

2023.06.27

よみもの

和装小物の店『きねや』で学んだ、京都らしい色づかい 「京都できもの、きもので京都」vol.1

帯締め、帯揚げにはあえてオレンジ、赤、朱色を入れずにスッキリさせました。これ以上色数を増やさないことでまとまった印象も与えられます。

秋を探しに

過ごしやすい気候へと移ろうなか、着物でおでかけのお約束が心待ちにされるころかと思います。

みなさまどうぞその日の体感やご自身のなりたいイメージにあわせたコーディネートで、秋の着物シーズンをご満喫ください。

今井茜さん

静物撮影/スタジオヒサフジ
着姿撮影/TADEAI 久野藍

ITEM

記事に登場するアイテム

着物:【吉澤の友禅】付下げ着尺 「葵流水文様・真珠色」

帯:【きものの青柳】 手絞り染地袋帯「菊花辻ヶ花紋」

帯揚げ:【渡敬】小葵紋市松ぼかし帯揚げ 「薄鶸色/灰白色」

帯締め:【道明】 帯締め 高麗組 平家納経・嘱累品

帯締め:【道明】帯締め 高麗組 平家納経・信解品

帯:【ヤマキ織物】 九寸名古屋帯 「綴市松文 白×白茶」

帯揚げ:【京都富小路きねや]】銀箔散らし氷割れ柄帯揚げ 「アイボリー」

帯締め:【京都富小路きねや】冠組帯締め「ダークブラウン 」

帯締め:【京都富小路きねや】冠組帯締め「抹茶 」

帯締め:【京都富小路きねや】冠組帯締め「ペールブルー 」

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