お客様インタビュー vol.3 石川佳子さま ~代表取締役社長 田中敬次郎~
銀座店も5周年を迎え、言わば一区切りというタイミングの京都きもの市場。
今を見つめ、より満足度の高いサービスを提供したいとの思いから、お客様との対話を通し、社長・田中敬次郎が、そのヒントを探ります。
銀座店5周年記念パーティーに出席するため東京を訪れたのを機に、銀座店のお客様にお時間をいただき、その思いを対談という形で実現させました。
自身の思い、お客様の思いを、この「きものと」を楽しみにしてくださっている皆様ともシェアできたらとのこと。対談の模様をレポートいたします。
趣味は書くこと!という着物愛好家。
国内外において着物PRの経験を持つ。
英国駐在時には着物でのお出掛けを常とし、自身の着姿をSNSやYouTube 等でも発信。
また、ロンドンで着物ファッションショーを開催するなど、和装のPRに務めている。
こだわりのコーディネートをご披露
ふんわりとした優しい雰囲気を纏いながら、着物選びには一切の妥協も許さない!といった強さを持つお方です。
この日のコーディネートは、「敬愛する作家の訪問着にのせる素敵な袋帯を、憧れの機屋の先生にお願いして選んでいただきました。」というこだわりの組み合わせ。
きもの/石田凱宣 帯/大庄 帯締め/龍工房 帯揚げ/加藤萬
機屋の先生は、欧州から日本へとつながるシルクロードをイメージされたそうです。
社長 ───
今日のコーディネートは、弊社のネットと店舗を駆使して完成されたそうですね。
お手伝いをさせていただくことができ、大変光栄です。
石川様 ───
京都きもの市場さんだからこそ実現し得たきもの姿ですので、感謝しています。
この度は銀座店開店5周年を迎えられ、まことにおめでとうございます!
私と京都きもの市場さんとのお付き合いは早いもので、もう10年以上になるんですよ。
毎日のようにホームページを拝見し、気になる商品を見つけては銀座店に取り寄せ着装して確認しています。
店舗催事の品揃えも魅力的だし……と、欲しいものがあり過ぎて、いつも悩ましくも楽しいお買い物をさせていただいております。
社長 ───
ありがとうございます。
ネットと実店舗の両方を上手にご利用いただいて嬉しいですね、うちをよく使いこなしてらっしゃる!
石川様の着物に対する愛がひしひしと伝わってきますが、そもそもの着物との出会いはどういったものだったのですか?
石川様 ───
両親の影響が大きかったですね。
父が、文学や美術、古典芸能が好きで、蔵書も多かったので、私も自然と芸術に興味を持つようになりました。
浮世絵や日本画のなかの和服の女性、歌舞伎や能、文楽の舞台衣裳、時代物の小袖を紹介する本などを眺めては、着物や日本髪って素敵だなぁと思っていました。
母には子供時代、ウールのアンサンブルや浴衣を着せてもらっていたんです。
母の小紋や色無地を染め替える時も、お店に一緒に連れて行かれましたし、きっと私に着物を好きになって欲しかったのでしょうね。
自分らしく、そしてお母様とともに歩む、きもの人生
社長 ───
ご自分で着るようになったきっかけはどのようなことでしたか?
石川様 ───
私が自分で着物を着るようになったのは、20歳の頃。
最初は小紋、そして色無地、付下げ、訪問着を仕立て、華道の新年会や結婚式のお呼ばれ、歌舞伎の観劇などで着物を楽しみました。
でも、着付けを習い始めた頃に父が他界してしまったので、その後、母も私も、気持ちが着物から遠ざかってしまったんです。
ですが30歳を前に、思い立って地髪で乙女島田を結い、記念写真を撮りました。
当時転職も考えていて、今振り返ると、それまでの人生をリセットする“装置”=“きもの”だったような……自分らしくあり続けるための……。
ちょっと大袈裟ですが(笑)
社長 ───
石川様の人生の節目に、着物が大きく貢献したのですね!
石川様 ───
さらに10年後、また着物に救われたんですよ!
母が倒れ、多くの障害を抱えて病院での療養生活となったのですが、落ち着いた頃に知人が和服姿で面会に来てくださったんです。
車椅子の母のために出来ることは何でもチャレンジしたいと必死だったので、その時、二人で楽しめることはこれだ!と直感しました。
母の着物姿が見たい、私の着姿も見てほしい、“お洒落リハビリ”と称してドクターにお願いし、着物を着る許可をいただきました。
スタッフの方々のご協力もあって、お化粧をし、着物を着て、院内やお庭を散歩できるようになりました。
その姿を大きな鏡に写してあげると、美しく変身した自分の姿を見て、母もとても喜んでくれました。
本当に嬉しかったですね。
何枚も何枚も写真を撮りました。
社長 ───
着物がお母様のリハビリの助けになったとは!
とても素敵なエピソードです。
着物を着るということは、人に希望や自信をもたらす。着物姿の方を見ているだけでも心が浮き立つ。
本当にそんな力がありますね。
弊社とはかれこれ10年ほどお付き合いくださっているとのことですが、ではその頃からネットをご利用いただいていたのですか?
石川様 ───
そうなんです。
その頃、新調した若草色の色無地を着て面会に行きましたら、母が、あら素敵な色ね!触らせて、といった笑顔で、自発的に手を伸ばして袂に頬ずりしたんです!
加賀染だったのですが、やはり良い着物はわかるのですね。
母も新しい着物を着たいのだと気づいて、手持ちの着物だけでなく新しい着物を二人でシェアするよう、路線変更をしたんです。
そこで京都きもの市場さんのHPに夢中になる訳です。
探し求めていた振袖も……
石川様 ───
仕事をしながら遠距離の病院通いでしたので、時間に余裕のない私は、欲しいものをネットで探すようになりました。
なかでも京都きもの市場さんは、他社にはない素晴らしいお品がずらりと並んでいて、何度も何度もクリックしていました!
商品の魅力を語るバイヤーさんの紹介文がまた新鮮で良かったですし、写真も実物に近く、質感や色調もリアルでしたから。
商品の背景や作り手の解説もとても勉強になりましたしね。
値段もOLの手の届く価格で、ポイントも付き、返品も可能!
その上、担当者と直接電話でお話もできる!
電話では誠実な販売姿勢に接し、安心感も得られました。
社長 ───
そう言っていただけて嬉しいですね。
2001年にネット販売をスタートさせて以来、いつでもどこでも検索できる気軽さや、商品の豊富な品揃えといった強みを活かしつつ、手に取って確認できないという弱みをひとつひとつ解消し続けてきましたので。
因みに初めてネットでお求めくださったのはどんな商品でしたか?
石川様 ───
大城廣四郞工房の琉球絣の名古屋帯です。
ドキドキしながら担当者にお電話をおかけしましたら、商品の詳細をていねいに教えてくださいました。
届いて黄八丈に合わせたらぴったり! 初めてのネット購入は大成功でした。
母には吉祥文様の袋帯と、流水に桜花の京手描友禅の訪問着を。
上品な水色が母に良く似合い、華やいだ表情でとても喜んでもらえました。
最初は購入しやすい帯が中心で、次第に好きな染匠や機屋、作家ができていきました。
中古・新古品でも掘り出し物があり、いつもわくわくしながらネットを見て楽しかったですね。
社長 ───
なるほど、どんどん石川様の着物の世界が広がっていったんですね。
他に思い出深いお着物はおありですか?
石川様 ───
はい、ずっと振袖を探していたのですが、イメージ通りの未仕立ての品に巡り会えました。しかも好きな作家さんのものだったんです。
これで2枚重ねのお引き摺りが実現できる!と嬉しかったですね。
奴島田を結ってもらい、母に引き振袖姿を見てもらうことができました。
念願だったんです。
私の夢も叶い、母との素敵な思い出をたくさん作れました。
本当にありがとうございます。
社長 ───
そう言っていただけて、着物屋冥利に尽きます!
お母様もさぞかし嬉しかったでしょうね。
老松白鳳図の外着、群鶴飛翔文の下着、濃紫と黄丹を襲ねた色目が美しい。
五つ紋を染め抜き、桐竹文の袋帯で格調高く。
きもの(外着)/田村哲彦 帯(桐竹文)/大庄
社長 ───
今はネットに加え、銀座店もご利用いただいているとのことですが、店舗の方はいかがですか?
石川様 ───
銀座店には、ほぼ毎週通っています(笑)
開店当初は都合がつかず、4年前に初めて伺ったのですが、そこで、何年ものあいだ電話だけでお話をしていた竹中次長さんや、それまでお世話になっていたバイヤーさんに、実際にお会いできたんです。
初めて対面したにもかかわらず、旧知の仲のような親しい会話に菅野店長さんが驚かれて、「その瞬間に立ち会えた」と感動してくれたのを今でも覚えています。
それ以来、銀座店の明るい雰囲気やスタッフの暖かい対応のおかげで、店舗に気軽に足を運べるようになりました。
気になる商品があると、必ず相談しています。
迷ったり悩んだりしても、菅野店長さんや明神さんをはじめ、スタッフの皆さんが的確なアドバイスをしてくださるので、頼れる味方です!
購入して良かった、と思えるお買い物ができて、いつも満足しています。
店舗でのイベントでは、作家や工房によるトークショーや物作りの体験イベントが好きですね。
そういった催しを通じて仲良しのお友達もできたので、さらに着物が身近な存在になりました。
社長 ───
店舗の方も大いにご活用いただいていて、何よりです。
店舗に来られる時もお着物で?
石川様 ───
いえ、実は自分では綺麗に着られないので、今、銀座店の初心者向けの着付けを習っているんです!
まずは紬や小紋を着て銀座店に伺うのが目標ですね。
銀座店で『お着物でぶらり散歩』といったような企画がスタートしたら、喜んで参加しますよ!
社長 ───
実はそういった、気軽なお出掛けの機会を作ってほしいというお声は多いんです。
検討しないといけませんね!
社長 ───
京都では本社ビル(京都市内中心部)で、東京ではKITTE丸の内でと、年に数回大きな催事も行っていますが、ご参加いただいたことはおありですか?
石川様 ───
もちろんです!
見応えがあって、活気があって、大変楽しませていただいております。
初めて知る染匠や織元との出会いもあるし、なかなかお目にかかれないゲストを招いてのイベントも貴重な体験です。
素敵な商品を勧められて購入したこともあります。
いつもはお会いできない担当者とお話できるのも楽しみですね。
これからも、初心者も、常連さんも満足できる、充実したサービスをお願いします。
社長 ───
承知いたしました。
今後も皆様に喜んでいただけるようなイベントを開催していきますね!
社長 ───
最後になりましたが、今後弊社に期待することなどがございましたら、是非ともお聞かせいただきたいのですが。
石川様 ───
京都きもの市場さんは、販売店として着物を着る人の一番近いところにいらっしゃいます。
ちょっと着物に興味を持ち始めた方、お仕事や習い事で必要な方、成人式やお嫁入り道具として求める方、冠婚葬祭でご入り用の方、着物好きの趣味人、造詣の深いコレクター……。
そんな一人一人の気持ちに寄り添う、懐の深いお店でいてほしいです。
そして価格的にも私たちの手の届くものとして紹介してください!
“きもの”は人を生かす、人生を動かす大きな力を持っていると思うんです。
産地や作り手から多くの人の手を介し、それぞれの着物への情熱を乗せて、着る人のもとに届くものですから。
銀座店5周年のテーマ『紡ぐ』のように、京都きもの市場という手機で、お客様が夢見る喜びと感動の世界を、全国のきものファンに伝え続けてください。
社長 ───
着物には大きな力がある!
私もまさに日々感じていることです。
作り手からお客様へ、きちんと想いも届けられるよう紡いでゆきたいと思います。
お言葉の数々、しっかりと受け取りましたので、持ち帰り、社内で共有をさせていただきますね!
石川様 ───
最後にもうひとつ、HPのリニューアルで、私の大好きなフレーズ『大切なきものファン……大切な仕入先……平凡で素直な商いに日々努力します』が、頁末に移動してしまったのが残念です。
大きく成長し発展しても忘れないでくださいね!
京都きもの市場さんの企業ポリシーや社員の皆さんのハートを表現した、お客様の印象に残るキャッチフレーズを作って、ページトップを飾るのも良いかもしれません。
これからも応援しています。
社長 ───
貴重なご意見をありがとうございます!
お褒めの言葉もたくさんいただいて、嬉しいかぎりです。
企業ポリシーを大切にしながら、今後もご期待に添えるよう、邁進して参ります。
石川様、本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
“きもの”の力を伝えるべく、たくさんの商品や企画展、気軽に参加できるイベントも盛りだくさん!
ぜひ最新情報をご確認ください。
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