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着物が楽しい季節の到来 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.5

着物が楽しい季節の到来 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.5

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暑さが和らぎ、着物を存分に楽しめる季節がやってきました。秋らしい要素をひとつ取り入れるだけで、ぐっとシックになるから不思議です。そこで、秋の装いのコツをお話しします。

2023.08.28

よみもの

最初の一枚の選び方 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.4

秋を装う、おすすめ着物とは？

大久保先生02

暑さが和らぎ、着物を存分に楽しめる季節がやってきました。

秋らしい要素をひとつ取り入れるだけで、ぐっとシックになるから不思議です。

そこで、秋の装いのコツをお話しします。

暑いうちは単衣が最適

昔から9月は単衣、10月1日から袷、といわれていますが、今は10月になっても暑い日々が続くことも多いのが現状です。

気候に合わせて選ぶことも、着物を楽しむコツ

格式のある場所では、定説に従った方がいいと思いますが、それ以外なら無理をして袷を着る必要はないと私は思います。

気候に合わせて選ぶことも、着物を楽しむコツですよ。その時に秋を感じさせる色や柄を取り入れればなお素敵。

自然界の色で秋らしさを表現する

山々などが緑から黄色に変化するなかで、鮮やかな紅葉の深紅を目にすると、秋の到来を感じます。

さらにプラスしてほしいのは、秋らしい文様。

お彼岸（9/23日前後）を過ぎたら、茶色や紅葉の深紅、銀杏の芥子色、葡萄の紫、柿色などを着物に取り入れて季節を表現してみては？

すべてをこれらの色にしてもいいですが、重くなりすぎる場合も。そんな時には、さし色に使うと洒落ています。

例えば、ベージュ系の地色の色無地に、帯揚げや帯締めに茶色をさすだけで、秋の気配が漂います。

そしてさらにプラスしてほしいのは、秋らしい文様です。

しっとりと秋の草花で装う

秋を代表する花のひとつが「菊」。

旧暦の9月は「菊月」とも呼ばれ、なかでも、中国の易学でめでたいとされる”9”の数字が重なる9月9日の「重陽の節句」（菊の節句）はとびきりめでたい日とされています。

江戸時代には霊力を持った菊の花を酒に浮かべ、香りを移して飲み、邪気を払い長寿を願ったとか。

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それにちなみ、菊尽くしやむじな菊の江戸小紋、菊と秋の草花を描いた付け下げなどどうでしょう。

紅葉も秋の代表柄。

紅葉と流水の組み合わせで龍田川をイメージしたり、山並みに紅葉を散らして錦の山々を感じさせたりと、秋の絵柄は情景が目に浮かぶものが多いです。

着物だけでなく帯にこれらの柄があると、何気ない着物に秋の気配が漂うから不思議です。

笑顔の大久保先生

紬で秋を感じる

紬集合

秋からは紬の出番。

結城紬、塩沢紬、十日町紬など、全国各地で織られる紬はどれも温かみが感じられ、着ると包まれるような感覚になります。

大島紬はつるんとした肌触りなので、初冬近くなると冷たい雰囲気になってしまうこともあるかもしれません。

帯は紬と相性のよい名古屋帯がおすすめ。秋を感じさせる絵柄がたくさんありますから、ぜひ、組み合わせてください。

半衿ですが、私は紬には白が似合うと思っています。すっきりとした衿元こそ大人の着こなし方なのでは。

街を歩く大久保先生

帯留めを紅葉や銀杏にすると、秋が宿った雰囲気に。

秋こそ着物を楽しみましょう！

構成・文／大澤はつ江
人物撮影／五十川満

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きものスタイリスト　大久保信子

この記事の著者

きものスタイリスト　大久保信子

1976年に日本で初めて「きものスタイリスト」となる。
ハースト婦人画報社などの各雑誌、その他各種テレビ番組の著名人の着物のスタイリングおよび着付けに幅広く携わる。
日本舞踊の経験や、歌舞伎鑑賞を趣味としており、着物に関する奥行きの深い知識と美学を活かした著書も多数出版。

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