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『五辻の昆布』五代目・久世章斗さん(前編)【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.5

『五辻の昆布』五代目・久世章斗さん(前編)【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.5

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昆布の消費量が多い京都で、120年前から街の昆布屋さんとして親しまれる『五辻の昆布』。今回は五代目・久世章斗さんの新たな取り組みについて伺います。MC・紗月さんの意外な昆布との繋がりも?

まなぶ

「紗月がみつけた!和の新風」

老舗昆布屋5代目の新たな取り組みとは?

『五辻の昆布』本店前

『五辻の昆布』本店前

世界中の人々から愛される和の文化が集結する京都。そこには伝統を守りつつ、新しい風を吹かすべく挑戦し続けている方々がいます。

「紗月がみつけた!和の新風」は、伝統文化の新たな担い手たちにその活動内容や決意をうかがうYouTube連動企画

祇園甲部の元人気芸妓・紗月さんがMCを務めます。

今回、紗月さんが訪れたのは老舗昆布屋『五辻の昆布(いつつじのこぶ)』本店。5代目の新たな取り組みに迫ります。

その前に、まずは紗月さんの装いからご紹介。

過酷な夏の撮影でしたが、暑さを感じさせないすっきりとした佇まい。濃紫の紋紗地に白の長襦袢が透ける様子が目にも涼やかに、夏の和姿ならではの風情を醸し出します。

しだれ柳の模様が織り出された珍しい紋紗地。銀糸にて飛び交うツバメの意匠が繍い入れられて、実にこなれた印象です。

帯には、型染めの名古屋帯を。小千谷の麻地がなんとも爽やかです。

帯揚げには輪出しの赤を効かせ、お迷いだった帯締めは……帯の柄にリンクさせた洒落柿色に決定!

利尻島から視察も。昆布の消費量が多い京都

『五辻の昆布』の暖簾

京都市の千本今出川に本店を構える『五辻の昆布(いつつじのこぶ)』は明治35年創業。

以来120年余りにわたって手すきによるおぼろ昆布を削り続け、地元の人々から「五辻のこんぶやさん」として親しまれてきました。

しかし、「京都ではまだ“ひよっこ”」と語るのは、5代目の久世章斗さん。

今から10数年前に先代であるお父様の後を継ぎました。

5代目・久世章斗さん

5代目・久世章斗さん

久世さんにまず伺ってみたのは、京都は昆布の消費量が多いと言われている理由について。

京都では、昔から家庭で薄く刻まれた切り昆布をお醤油で炊いたり、お漬物に加えたりと料理に使う文化的習慣があり、それで他の県よりも消費量が多い傾向にあるそうなのです。

『五辻の昆布』で取り扱っている北海道産の昆布

店先でも、様々な種類の切り昆布が100g単位で販売されていました。

なお、『五辻の昆布』で取り扱っているのは、利尻や羅臼など北海道産の昆布。

実は紗月さん、中学生の頃になんと一年間、利尻島へ海浜留学に行った経験があるのだとか!

そこで昆布漁をされているご家族にお世話になり、子供から大人まで昆布を干すのが当たり前の光景を目の当たりにしたそうです。

利尻島での昆布漁について語るお二人

利尻島での昆布漁について語るお二人

「雨が降ってきたら授業をストップして、先生も、消防士さんも、警察官さんもみんなで昆布を取り込むような」と当時を語る紗月さんに、「お金が転がっているようなものですからね」と返す久世さん。

久世さんも利尻島に行かれたご経験があり、おふたりでしばし、”利尻島あるある”で盛り上がりました。

お話を伺う紗月さん

一方で昆布が京都でどのように流通し、人々に消費されているかを知りたいと、利尻島から昆布漁をされている方が視察に訪れるケースも。

近年はやはり家庭での昆布の消費量が減少気味で、漁師さんたちもいかに昆布の魅力を発信していくかということに尽力されているといいます。

主力商品を生み出した3代目の功績

店先ではだし昆布や切り昆布などお得用の商品が多数並んでいます

店先にはだし昆布や切り昆布などお得用の商品が多数

3代目・喜一さん(※久世さんのお祖父様)の時代には、毎月21日に東寺で行われる弘法市では約200キロほどの昆布をリヤカーで運んでいたことも。

「それがまた、飛ぶように売れたと聞いています」と久世さん。

喜一さんはチャレンジ精神が旺盛で、例えば『五辻の昆布』でお馴染みの京都の風景が描かれた可愛らしいパッケージを導入されたのも先々代。

紗月さん、3代目・喜一さんの時代のお話に驚き

元々は新聞紙に包んでお渡しするのが一般的でしたが、西陣がきものバブルの時代に「着物の織屋さんや催事に行く時にお土産はないか」ということで絵が好きだった喜一さんが京都の絵柄をパッケージに取り入れたのが始まりだそうです。

ハート型昆布の誕生秘話について語る久世さん

「また、五辻通りを東にまっすぐ行くと北野天満宮さんの東門に突き当たるので、ここを通られる参拝客に合格祈願の絵馬の形に切った五角の昆布を『合格(五角)して喜ぶ(よろ昆布)』として渡していたみたいです」

それが元となり、おやつとして手軽に食べられるハート型の昆布を作られたという喜一さん。

いまでもハート型の昆布は見た目のかわいさから、ちょっとしたお土産に大人気です。

おやつ昆布 ハート昆布
提供/株式会社 いつつじ

そんな喜一さんの血を引いた久世さんも、新たな取り組みに挑戦中なのだとか!

実は今回お話を伺っている場所は、本店2階にある”昆布と麺のお店『喜一』”。

「自分は思わないですが、よく変わり者だと言われます」という久世さんの言葉に思わず笑顔

「自分は思わないですが、よく変わり者だと言われます」という久世さんの言葉に思わず笑顔な紗月さん

料理離れで家庭から姿を失いつつある昆布の美味しさをもっと多くの人に知ってもらおうと、今年の5月に久世さんがオープンさせたばかりです。

バーのようなスタイリッシュな店内で昆布ダシをベースにしたラーメンなどをいただくことができます。

はたして、どんなお味なのか……

次回、紗月さんが実食します!

ワイン?と思ったら昆布!?この正体は……

ワイン?と思ったら昆布!?この正体は……

紗月さんファン必見!オフショット

お店に到着し、まずはオープニングの撮影

お店に到着し、まずはオープニングの撮影

まっすぐカメラを見つめる紗月さん

まっすぐにカメラを見つめる紗月さん

早速、店内へ

早速、店内へ

撮影、よーいスタート!

撮影、スタート!

紗月さん

今回のコーディネートもステキです

今回の撮影も紗月さんの笑顔で溢れました

やっぱりたまらない、紗月さんの笑顔!

グラスを傾ける紗月さん、次回もお楽しみに!

グラスを傾ける紗月さん。次回もお楽しみに!

文章/苫とり子
撮影/弥武江利子

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