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小さな器のお店『想』で、金継ぎ体験 「京都できもの、きもので京都」vol.3

小さな器のお店『想』で、金継ぎ体験 「京都できもの、きもので京都」vol.3

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「李さん、どうしたかしら?」と寂しく思っていたら、1年後、インスタグラムで偶然見かけたお店が『想』。その店主が李さんだったのです。

2023.07.22

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清水五条の路地裏にひっそり佇む、極小ギャラリー

2020年7月にオープン、この夏3周年を迎えた『想 sou gallery』は、大好きな京都の知人、李美香さんのお店です。

21年の夏、住所を頼りに訪ねましたが、何も目印がなく「どこだろう?」と通りを行ったり来たり。

細い路地を入った奥にようやく見つけました。

細い路地を入った奥にようやく見つけました
李さん

静かで奥ゆかしい秘密めいたお店は、李さんの持つ雰囲気にぴったりで「ああ、店は人なり」と思ったものです。

『想』では器の常設展や企画展だけでなく、なげいれのお花の講座、金継ぎの教室など、体験型のワークショップもやっています。

今回、私は小さな欠けのある器を持参して、金継ぎを教わることにしました。

京都で見つけた器を京都で金継ぎ、旅のいい思い出に

金継ぎの道具

私が選んだコースは、代用粉を仕上げに使った簡易金継ぎ

リーズナブルだし、所要時間も2時間ほど。日常使いの器のちょっとした欠けの直しにぴったりです。

やさしく指導してくれるので、初心者にも安心

李さんがお手本を見せてくれ、やさしく指導してくれるので、初心者にも安心。

丁寧に塗っていきます

この長方形のお皿は、10数年前に夫が京都で買ってきた村田森さんの作。その後、私も同じものを京都の器屋さんで偶然見つけて購入し、2枚揃いました。

微細な粉を蒔いていく時は、呼吸を整えて

そんな思い出話をしながら、接着剤を筆に取り欠けた部分に丁寧に塗っていきます。

そこにかけらをつけて、さらに塗り込めます。

微細な粉を蒔いていく時は、呼吸を整えて。満遍なく粉をつけ、余分を払い落としたら完成。あとはそのまま静かに固まるのを待ちます。

余分を払い落としたら完成

「1ヶ月ぐらいはいじらず触らず、ゆっくり定着させてくださいね」と李さん。

ゆっくり定着させてくださいね

三条烏丸にあった「素夢子古茶家」での出会いが、今につながって

李さんとの出会いは、数年前に遡ります。

彼女が三条烏丸にあった『素夢子古茶家』(2020年に閉店し、大原に移転)を切り盛りされていた頃、よく美味しい韓国茶や薬膳のランチをいただきに伺っていました。

「京都できもの、きもので京都」

「李さん、どうしたかしら?」と寂しく思っていたら、1年後、インスタグラムで偶然見かけたお店が『想』。その店主が李さんだったのです。

インスタグラムで偶然見かけたお店が『想』

なかなか実際に会う機会がありませんでしたが、その間もネットショップでポジャギを購入したりと淡い交流が続きました。

※ポジャギ……ハギレをつなぎ合わせて正方形にした布地。韓国で古くより「福」を包む縁起物の布として親しまれてきた。

季節の韓国茶をいただきながら、器を愛でる時間

『想』

「2020年の5月にこの物件を見つけ、7月に開業しました。どうなるかはわからない、でもやってみなければわからないから」

と、コロナ禍中にオープン。

日韓の現代作家の器や骨董

小さなスペースに似合う日韓の現代作家の器や骨董を掌にのせて愛でるのは、大人のおままごとにも似て楽しい時間です。

日韓の現代作家の器や骨董

日韓の現代作家の器や骨董

「日韓の現代作家の器や骨董

よく見ると蝙蝠が羽を広げて

金継ぎを終えるのを見計らって出される季節の韓国茶も、可愛いお茶碗に注がれて。木蓮の花茶の上品で美味しかったこと!

可愛いお茶碗に注がれて
木蓮の花茶

李さんの審美眼で選ばれた、清楚でいてのびやかな器は、大人の乙女心をくすぐります。

日韓の現代作家の器や骨董

「日常に寄り添ってくれる、とっておきに出会ってもらえたら」と李さん。

器を見つけに。
金継ぎを習いに。

それもあるけれど、李さんに会いたくてまたお店を訪ねます。

またお店を訪ねます

着こなし

伝統的なハナアーシーとバンショーの柄

20年以上かかって私のところにやってきた芭蕉布の反物は、伝統的なハナアーシーとバンショーの柄の組み合わせでした。

前年に喜如嘉の芭蕉布会館を訪ねたり、「やんばる同窓会」の方たちのトークショーの司会を務めさせていただいたご縁もあり、お迎えしました。

「網干と千鳥の柄が気に入った加賀友禅の夏帯

帯は、網干と千鳥の柄が気に入った加賀友禅の夏帯です。

芭蕉布と加賀友禅なんて頭の中では結びつかないのですが、ふと置いてみたらなんだか面白くて。

血赤の珊瑚の帯留めは、松原智仁さんの作。この形が自分のイニシャルに見えて、その向きになるよう金具をつけてもらいました。

友人から還暦祝いにいただいた絽縮緬の帯揚げは『ゑり善』、帯締めは京都寺町『ゑり正』のものです。

血赤の珊瑚の帯留め

さりげなく「Y」のアクセント

お直しの仕上がり

李さんの丁寧な仕事

お直しから戻ってきた愛用品たち 写真提供:山崎陽子

子犬が噛みちぎったポジャギの角は、別布をきれいに足して素敵になって戻ってきました。

村田森さんの角皿、花岡隆さんの粉引のカップは、かけらを代用粉で継いで、ゆっくり接着させ、きれいに仕上がりました。

李さんの丁寧な仕事に感謝です。

『想』の簡易金継ぎ 1day教室

季節の韓国茶を飲みながら、大切な器を直します。

レッスン料(材料費込み)¥7,000

※器は2点持ち込み可
※代用粉仕上げ(純金粉仕上げご希望の方は別途料金)
※定員2名・要事前予約
※所要時間約2時間
※水曜と土曜を除く10時〜12時

そのほか、本漆教室4回コースなどもあり。
詳しくは、InstagramHPより問い合わせください。 

撮影/弥武江利子

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