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聞けなかったこと、教えてください! 『梅が香』水野小巻先生に聞く 「きもの好きの茶道はじめ」vol.2

聞けなかったこと、教えてください! 『梅が香』水野小巻先生に聞く 「きもの好きの茶道はじめ」vol.2

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きものが好きだから茶道を習ってみたい!という方にお送りする連載「きもの好きの茶道はじめ」。第2弾は『梅が香 裏千家お茶の教室』の水野小巻先生に、お月謝のことや稽古場での人間関係など少々聞きづらい質問にお答えいただきます。

2023.06.02

よみもの

着たいから、はじめます! 『梅が香』水野小巻先生に聞く 「きもの好きの茶道はじめ」vol.1

茶道を始める前に知っておくべきことは?

主菓子と薄茶

撮影取材は、初夏のお稽古場にお伺いいたしました

”きものを着始めるきっかけ”になった、あるいは逆に、”きものを着るための口実として始めた”ものとして頻繁に挙げられる「茶道」。

普段のお稽古やお茶会など、茶道はきものを着る機会が多いため、きものファンのなかには茶道に興味を持たれる方が多くいらっしゃいます

そんな方々に贈る連載「きもの好きの茶道はじめ」。

お点前を披露される水野小巻先生

『梅が香 裏千家お茶の教室』を主宰する水野小巻(宗巻)先生とその生徒さん方にご協力いただき、どうしても敷居が高く感じられる茶道を始めるにあたってのさまざまな不安を解消していきます!

前回は小巻先生に「気になるお茶席での装い」について伺いました。

第2弾は茶道を始めるなら知っておきたい、だけどなかなか聞けない「お金まわりのこと」や「お稽古場での人間関係」について。

小巻先生の懐の広さをお借りして……今回も直球な質問を投げかけさせていただきます!

お稽古について「教えて!小巻先生」【Q&A】

小巻先生

Q1 茶道について全く未経験の状態でお稽古を始めても大丈夫なのでしょうか。

もちろん、ウェルカムです!

ある程度知識をお持ちの状態で始められる方もいらっしゃいますが、最初は何も知らないという方がほとんど。

もちろん茶道には様々なお作法や決まり事がありますが、そのひとつひとつを学んでいくのがお稽古です。

生徒さんのお点前

教室に通い始めて4年になるSさんも最初は続けられるか不安だったのだとか

続けられるかどうか不安に感じられている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは後から考えればいいこと。

興味がおありならまずは始めて、やっぱり合わないわと思ったらその際に考えればいいとわたしは思います。

大事なのは「学びたい」「学ばせていただきたい」というお気持ちと、素直に「はい」「申し訳ございません」と言えることだとわたしは思っています。

Q2 一度通い始めたら、お稽古場を変えられないって本当ですか?

答えとしましては、先生を変えることはできます。ただ、変わる理由と辞め方も重要だと思います。

たとえば、お引越しや転勤など今の先生の元に通えない場合はいたし方ありませんよね。”先生と合わない”などの理由もやはりあると思います。それもいろんな原因が含まれているのかと。

100%希望通りということは、どのようなことでもなかなか難しいと思います。入門なさったのであれば、郷に入っては郷に従い先生のやり方を学ばせていただくという姿勢は大事なのではないでしょうか。

口伝で作法を伝授する水野先生

口伝で点前を伝授する小巻先生

どうしても続けていくのが難しい場合は、先生に失礼のないようにご挨拶なさりお辞めになるのがよろしいと思います

案外狭い世界ですので、どこで前の先生やお仲間と会うかもしれませんし、今の先生と前の先生がお知り合いだったということもあります。

今までご指導いただいたのですから、最後まで感謝の気持ちをお伝えすることは、必要ですし礼儀です。

教え方は先生によって異なる

Q3 お稽古場の雰囲気を知るにはどうしたらいいのでしょうか?

まずは、気になるお教室の情報をチェックすることでしょうか。昔は雑誌やパンフレット、看板などで生徒さんを募集されていらっしゃるお教室がほとんどでしたが、今はSNSがありますよね。わたしのところもインスタグラムをご覧になりお越しくださる方がたくさんいらっしゃいますが、そういうSNSの投稿で先生のお人柄やお教室の雰囲気を知るのもひとつの方法だと思います。

また、お茶のお稽古に通われている方やお知り合いなどにご紹介いただくのもよろしいですよね。生の声が聞けるかと。

梅が香のお稽古は終始和やかな雰囲気

そして、できればいくつかのお教室に体験に行かれることをオススメしています。

どちらもシステムやお月謝はさほど変わらないと思いますが、やはり先生との相性ってとっても大事だと思うんですね。相性を確かめず勢いで入門なさるのは、お互いにとって残念な結果になる可能性もあるかと思います。

実際お会いし、肌で感じる印象って大切ですよ。

本当にいろんな先生がいらっしゃるので、ご自分に合った先生と出会っていただきたいですね。

水野先生の教室はスマホ撮影OK。後で見返して次の稽古に生かすことができる

小巻先生の教室はお稽古に支障のない範囲でスマホ撮影もOK。見返して次のお稽古に生かすことができる

梅が香の体験に来てくださった方にも、ありがたいことにその場で「入門させてください」とおっしゃる方が多いのですが、わたしは「一晩よくお考えくださいね」とお伝えしていますよ(笑)。

Q4 お金関係が不明瞭で……

お月謝や束脩(そくしゅう:入門料)は提示されているお教室が多いと思いますが、不明瞭に感じるのはそれ以外の点だと思います。

裏千家では稽古の各段階ごとに学ぶことを許可する”許し状”のことを”許状”といい、こちらを取得します。

申請料は一律決まっておりますが、申請料とは別に先生へお礼をお渡しするのが一般的です。金額は先生により異なります(お礼をいただかない先生もいらっしゃるかと思います)。

教室維持への協力や、お道具を揃えてくださる先生のお心遣いへのお礼の意味が込められています。

金彩色絵のお茶碗

また、お中元やお歳暮もクラス毎に先生へお渡しするところや個人でなど。梅が香は「結構ですよ」とお伝えしていますので、これもさまざまです。

ただこのようなお礼というものはお気持ちだと思います。日頃の感謝をお伝えするひとつの方法なのではないでしょうか。

五色の手毬棗。厄除けの意味を持つ

端午のお節句前の撮影取材。五色の手毬棗は厄除けの意味を持つ

今後長くお続けになること、先生に失礼のないようにするためにも、ご不明な点は体験やお問い合わせの時におたずねになってみてはいかがでしょうか

不安はきちんと解消し、理解、納得の上でご入門なさるのがよろしいですよ。

Q5 稽古場での人間関係が心配です。

年齢層、場所、お稽古の回数や内容など、いろいろな要素によりお教室の雰囲気が違うと思いますので、ご自分に合うお教室選びがよろしいと思います。

人間関係を円滑にするには、茶道に限らず基本的な礼儀だと思います。

礼を尽くす

礼を尽くす

「おはようございます」「お先に失礼いたします」などのご挨拶、「ありがとうございます」「申し訳ございません」などの素直な気持ち、「わたしがいたします」「お先にどうぞ」などの気遣い。

そして茶道では、先生とのご挨拶では生徒はお扇子をご自分の前におき、お辞儀をします。これは「結界」を意味し、先生に敬意を払い生徒は一段へりくだるということです。

ご自分の立場をわきまえ、常に謙虚な気持ちを心がけていれば、そんなに難しいことではないと思います。

『梅が香』は生徒さん同士の仲が良く、プライベートでも仲良くされていらっしゃる方が多いです。

先生と生徒さんがお揃いで購入されたハンカチ。縁が茶道具になっている

小巻先生と生徒さんがお揃いで購入されたハンカチ。縁が茶道具になっている

社中内でも、陶芸体験やお食事会などを開催し、違うお稽古場の方々と交流が出来るようにもしていますが、それも自由参加です。

わたしは『梅が香』を通してステキなご縁が広がりつながっていってほしいと思っていますので、生徒さんのご活躍を応援しています。

実際、紅型作家さんの生徒さんの個展におでかけになりお品をお求めになったり、講座を始めた生徒さんの元にお通いになったりと、ご縁がつながっています。生徒さん同士が仲良くされていることはとてもうれしいです。そのことがお教室の雰囲気作りにもつながっていると思うのです。

茶花

今回ご協力いただいた小巻先生とお二人の生徒さん方、ありがとうございました!

次回は神楽坂でのお稽古に密着。

京料理屋さんで行う茶道稽古とは?!

引き続き小巻先生に、茶道を始めるメリットや愉しみ方などさまざまな疑問にお答えいただきます。どうぞお楽しみに!

撮影/TADEAI 久野藍

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